フランスの出生率が最低水準 かつて少子化対策の優等生

【パリ安倍雅信】仏国立統計経済研究所(INSEE)が16日に公表した人口統計報告によれば、女性が一生のうちに産む子供の数、合計特殊出生率は2023年、前年の1・7人を下回り、戦後最低水準となった。フランスでは10年のピーク時、2人を超え、少子化対策優等生として世界からの注目を浴びた。

当時はフランスが長年取り組んできたきめの細かい子育て支援と移民家族の増加が功を奏していると分析されていた。11年から緩やかな減少が続き、最新の月例報告では昨年11月時点で、17カ月連続減少していた。ただ、専門家の間では、生まれる子供の数の減少は、子供を産める女性人口減少に比例しているとの指摘もある。

フランスでは1980年から95年にかけて出生率が大幅に低下し、93年から94年にかけて1・66人と史上最低を記録した。最新の出生率は、その時に匹敵する数字だが、フランスの人口統計学者、ジル・ピソン氏は「出生率の増減は懸念する事態にはない」と指摘する。

出生率が低下した15年間は左派ミッテラン政権の14年と重なる。ミッテラン政権は移民や弱者に手厚い社会保障を行ったことで知られている。同政権後のシラク政権から出生率は上昇を続けた。

国立人口学研究所(INED)の研究者によれば、「出生率は7~8年間さらに低下し、2030年から35年の間に再び上昇するだろう」と予想している。理由は出生率が上昇した1998年から2013年の間に生まれた女性が成人し、子供を産み始める時期に入るからと説明している。

その時期にフランスと世界の経済がどうなっているかも重要な要素だ。全国家族連合(Unaf)は、カップルへのサポートを強化すれば、出生率増加は可能と指摘し、「出生率を高めたいのであれば、カップルが子供を持ちたいという願望を持つ必要がある。そのためにはワーク・ライフ・バランスを重視することが必要」と指摘している。

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