EU首脳、習氏と会談へ 補助金や禁輸措置で温度差 

欧州連合(EU)のミシェル大統 領=1日、ドバイ(EPA時事)

【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長、ボレル主席外交委員会代表は7日に行われる中国との首脳会議のため今週北京を訪れる。新型コロナウイルスの感染拡大以降、EUと中国の関係は悪化しており、中国は関係改善に意欲を見せている。ただ、EU側は高まる中国リスクを制限したい考えで、両者の思惑には温度差がある。

フォンデアライエン氏とミシェル氏は李強首相と共同議長を務める首脳会議に出席するほか、北京で習近平国家主席とも会談する。

EUでは、電気自動車(EV)や太陽光発電に対する中国政府の巨額の補助金を問題視する声が高まっており、中国への対抗措置も検討されている。会談でもこうした内容が取り上げられる可能性がある。

中国の習近平国家主席=11月17日、 米サンフランシスコ(EPA時事)

また、EUは中国のリトアニアに対する禁輸措置について、リトアニアの台湾外交官事務所開設に対する報復措置と受け止め、懸念を示している。これに対し中国政府は、輸入業者が中国の主権を軽視する国から商品を買いたくないだけだと主張。こうした立場の違いも首脳会議に影を落とす可能性がある。

EUは中国との経済的結び付きを断つつもりはないとの認識を示す一方、欧州に進出している中国企業がEU域内への投資を続けることで、技術漏えいやEU企業の脅威になると危惧している。フランスのマクロン大統領は中国との対等で公正な貿易関係を築くため、中国の補助金について欧州委員会が実態調査をするよう主張している。

今回の会談は貿易やエネルギー、デジタルなどの分野に焦点を当てた定期的なハイレベル対話を行うもので、10月のボレル氏訪問に続くもの。EU側はバランスを欠いた中国との経済関係を是正したいと考えており、中国政府を説得する方針と見られる。一方、孤立感が強まる中国はEUとの関係改善を演出することで活路を見いだしたい考えだ。

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