ポーランド議会選 保守与党が後退 教会離れ一因か 

聖職者の性加害 信者も嫌う

15日、ワルシャワで、ポーランド総選挙の 投票を行うトゥスク元首相(AFP時事)

ポーランドで15日に行われた議会選挙(上下院)で右派与党「法と正義」(PiS)が過半数を割り、政権交代の可能性が高まっている。聖職者による性的虐待などでカトリック教会が信頼を失う中、同教会を支持基盤とするPiS離れが進んだとの見方が出ている。(ウィーン・小川 敏)

PiSは選挙戦で、年金受給者や児童への手当ての大幅な増額を公約するなど、政権維持のためにあらゆる手段を駆使してきた。主要メディアはほぼ全てPiSの影響下にあり、PiS批判は選挙戦ではほとんど聞かれなかった。国営放送ではPiSのライバル、「市民プラットフォーム」(PO)党首のトゥスク元首相はほとんど登場できず、テレビ局主催の選挙討論会にも招待されなかった。

にもかかわらず、PiSは得票を減らした。

約73%と予想外に高い投票率がPiSにとってマイナスに働いたとの見方もある。普段は投票しない若い世代が政権交代を願って足を運んだことが考えられるからだ。

欧米メディアで看過されている点は、欧州の代表的カトリック教国ポーランドで教会離れが急速に進んできていることだ。伝統的に保守派のカトリック信者の間でPiS離れが進んでいる。

ドゥダ大統領が投票日を「10月15日」にしたのは偶然ではない。ヨハネ・パウロ2世(在位1978~2005年)は1978年10月16日にローマ教皇に就任した。与党PiSは支持層のカトリック信者を投票に動員するために、同国の英雄ヨハネ・パウロ2世の就任日の前日を選挙日にしたというわけだ。

冷戦時代、ポーランド統一労働者党(共産党)の最高指導者ウォイチェフ・ヤルゼルスキ大統領は、「わが国は共産国(ポーランド統一労働者党)だが、その精神はカトリック教国に入る」と述べ、ポーランドがカトリック教国だと認めざるを得なかった。そのポーランド出身でクラクフのカロル・ボイチワ大司教(故ヨハネ・パウロ2世)が78年、455年ぶりに非イタリア人法王として第264代法王に選出された時、多くのポーランド国民は「神のみ手」を感じ、教会の信仰の火は国内で燃え上がった。

ポーランドは「欧州のカトリック主義の牙城」とみなされてきた。カトリック教国ポーランドで「神の館」と見なされてきた教会の聖職者の未成年者への性的虐待問題が次々と発覚、小児性愛(ペドフィリア)の神父が侵す性犯罪を描いた映画「聖職者」は2018年9月に上映されて以来、500万人以上の国民が見たといわれている。

国内では教会の聖職者の性犯罪隠蔽(いんぺい)に批判の声が高まっていった。同国ではヨハネ・パウロ2世は絶対的な英雄だったが、その神話は崩れてきた。その結果、カトリック教会を支持基盤とするPiSは有権者を失っていった。

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