独州議選、ショルツ連立惨敗  極右政党躍進、最大野党に

ドイツのショルツ首相=6 日、スペイン南部グラナダ (AFP時事)

【ウィーン小川敏】ドイツで8日、バイエルン州(南部)とヘッセン州(中部)両州議会選挙の投開票が行われた。両州とも現与党、ヘッセン州ではボリス・ライン州首相が率いる「キリスト教民主同盟」(CDU)、バイエルン州ではCDUの姉妹政党、マルクス・ゼーダー首相の「キリスト教社会同盟」(CSU)が第1党を堅持した一方、ショルツ現連邦政権の与党「社会民主党」(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は両州でいずれも得票率を大きく失い惨敗の状況。それに対して、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は得票率を伸ばし、ヘッセン州ではCDUに次いで第2党に躍進した。

バイエルン州議選でゼーダー州首相のCSUは得票率約37%で第1党を堅持、前回選挙(2018年10月)比で0・2%微減したが、他党を大きく引き離して勝利した。それを追って右派の「自由な有権者」(FW)が15・2%で前回比で4・2%増だった。FWのフーベルト・アイヴァンガー党首は選挙戦で若い時代に書いた反ユダヤ主義的な文書がメディアに報道され、辞任要求などの厳しい批判を受けたが、選挙結果を見る限りではマイナスの影響はなく、むしろ支持者を増やした。FWと2位を争っていたAfDは14・6%と微差で3位にとどまったが、前回比で4・4%得票率を伸ばした。一方、ショルツ現連邦政権に参加する「緑の党」は14・4%(前回比で3・2%減)、SPD8・4%(1・3%減)と得票率を減らし、FDPは3・0%で議席獲得のハードル5%をクリアできずに州議会での議席を失うなど、3党連立与党は後退を余儀なくされた。

バイエルン州ではFW、AfDと右派系政党が票を伸ばすなど、「バイエルン州は一層、右に傾斜した」と言われている。ゼーダー州首相はCSUとFWの現連立政権を維持する意向だ。ちなみに、ゼーダー州首相は2025年の次期連邦選挙でCDU/CSUの統一首相候補のポストを狙っているが、州選挙ではもう一つアピールできずに終わった。投票率は約73%。

一方、ヘッセン州議選でボリス・ライン州首相のCDUは、得票率約34・6%を獲得し。前回選比で7・6%増と大勝利だった。両州議会選で唯一、選挙で勝利した政党ともいえる。AfDは18・4%で前回比で5・3%得票率を伸ばし、第2党に躍進。一方、SPDは15・1%(前回比4・7%減)、緑の党14・8%(5・0%減)と両党とも大きく得票率を失い、FDPは5・01%(2・5%減)で辛うじて5%を超えた。ショルツ連邦政権に参加するSPD、緑の党、FDPの3党はいずれも得票率を失う厳しい結果となった。

 SPDは同州ではナンシー・フェーザー連邦内相を党筆頭候補者に迎えて選挙戦を展開してきたが、結果は党史上最悪の結果となった。フェーザー内相は選挙戦で敗北したならば、ベルリンに戻り、内相を継続したいと表明してきたが、選挙後の同内相の立場は不確かだ。投票率は約66%。なお、ライン州首相は「緑の党」との現連立政権を継続する意向が強い。

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