【パリ安倍雅信】フランスのアタル教育相は27日、学校でのいじめ防止に向けた対策計画を発表した。新年度の9月に入り、パリ西部郊外のポワシーで15歳の生徒がいじめを苦にして自殺するなど、同様の事件が複数発生したことを受けたものだ。
防止対策では、いじめ相談窓口のフリーダイヤルを拡充し、相談内容は自動的に当局に報告されることになった。アタル氏は「9月に入ってから相談が津波のように増えた」と述べ、相談件数が3倍に増えたことを明らかにした。
また、いじめが大幅に減少したデンマークで実践されている教育モデルに基づき、共感、他者への敬意、寛容の精神を学ぶプログラムを全生徒に実施する。
深刻化するネットいじめ対策では、その危険性を教える小冊子を生徒400万人に配布する。また司法当局が捜査段階で加害者の携帯電話などを没収することが可能になる。
フランスでは10人に2人が初等教育でいじめを受けた経験があるとの調査報告もあり、政府もいじめ撲滅には「奇跡的解決策はなく、思いやりのある学校にするには何年もかかる」と認めている。フランスでは昨年3月、いじめは犯罪化され、実刑や罰金などの罰則も設けられた。ただ、刑事対応だけではいじめはなくならないと専門家は指摘している。