伊、「一帯一路」離脱を検討 中国が約束不履行、経済的利益乏しく

ウクライナ侵攻も要因

7月23日、ローマで記者会見するイタリアのメロー二首相(EPA時事)

【パリ安倍雅信】中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加するイタリアのメローニ政権が、年内に離脱するかどうかを決定すると表明した。イタリアは2019年、欧州連合(EU)の懸念をよそに同国最大の湾岸インフラ事業で中国の支援を得るため、先進7カ国(G7)では初めて参加した。

イタリアはその結果として、中国の金融機関や企業から、発電所、鉄道、高速道路、港湾から電気通信インフラ、光ファイバーケーブルに至るまで、最先端のスマートシティー建設を念頭にあらゆる分野に資金が提供されるはずだった。イタリアは来年3月に覚書の更新を控えているが、約束が果たされていないことや中国に対する戦略的再評価により、脱退する構えを見せている。

一帯一路参加を決定した当時のコンテ政権が中国の誘いになびいたのは、イタリアが10年間に3度の不況に見舞われ、中国の巨大市場へのアクセスを拡大できると期待したからだった。当時、イタリア国民の間ではEUへの懐疑論が高まっていた。

一方、中国にとっては、イタリアは古代シルクロードの陸路と海路の主要な終着点。当時、他のEU加盟国が中国の香港政策やウイグル族への弾圧などに批判を強める中、イタリアとの経済関係強化でEUにくさびを打ち込めるという計算もあった。

ところが、一帯一路はイタリアの期待を裏切るものだった。中国への輸出は145億ユーロから185億ユーロに増加したとはいえ、中国のイタリアへの輸出は335億ユーロから509億ユーロへと劇的に増加。また他のEU加盟国に対する中国の投資は、イタリアへの投資をはるかに上回る。中国のイタリアへの直接投資額はむしろ微減で、一帯一路参加の利点は引き出されていない。

メローニ首相はこの1年、一帯一路への参加は「大きな間違い」であり、撤退することで正すつもりだと示唆してきた。むしろ、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、イタリアは米国・EUとの結束が不可欠との認識に変化し、EU懐疑論も下火になっている。

メローニ氏は首相就任前から「中国によるイタリアや欧州への進出を支持するという政治的意志は私の側にはない」と述べていた。さらに最近は台湾有事に対して米国との結束強化も主張している。

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