露が国連安保理議長国に 「最悪のタイミング」の声

3日、ニューヨークの国 連本部で記者会見するロ シアのネベンジャ国連大 使(AFP時事)

国際刑事裁判所(ICC、本部ハーグ)が3月17日、ロシアのプーチン大統領に戦争犯罪の容疑で逮捕状を出してから2週間後の4月1日、ロシアが国連安全保障理事会の議長国に就任した。逮捕状が出ている人物がトップを務める国が安保理を主導することになり、「最悪のタイミングだ」との声が出ている。(ウィーン・小川 敏)

4月1日がエイプリルフールだったこともあって、ウクライナのクレバ外相は「悪い冗談ではないか」と語った。

安保理の理事国は5カ国の常任理事国と非常任理事国の15カ国メンバーの輪番制で、アルファベット順に毎月交代する。4月の議長国はロシアの番で、2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻した時以来となる。議長国としてロシアは理事会の決定にほとんど影響を与えることはできないが、議題を設定し、会合の進行役を務めることになる。

国連加盟国の一員だけでなく、常任理事国でもあるロシアはウクライナ侵攻により多数の民間人を殺害してきた。プーチン氏は「戦争」ではなく、「特別軍事行動」と表現しているが、ロシアの行動は主権国家への侵略であり、国連憲章の精神を蹂躙しているとの批判が世界中から集まっている。

昨年のロシア軍のウクライナ侵攻直後、米国などが安保理にロシア非難決議案を提出したが、ロシアが拒否権を行使して否決された。常任理事国5カ国が拒否権を保有している限り、ウクライナ危機で国連は何も効果的な決定を下すことができないのが、国連の「現実」だ。

ウクライナのゼレンスキー大統領は民間人を恣意的に殺害しているロシアを「テロ国家」だと断罪し、「現在の国連は破綻している」と国連改革を訴えている。

2月23日、ニューヨークの国連本部で、決議採択を 歓迎する(右から)ウクライナのクレバ外相、キスリツァ国連大使ら(時事)

ウクライナの国連常駐代表、セルギー・キスリツァ氏は「(ロシアが議長国になった)4月1日は、不条理のレベルを新たなレベルに引き上げた。安保理は現在の形では麻痺しており、安保理の重要な問題、紛争予防と紛争管理に対処することができない」と強調。「重大な国家安全保障上の問題でない限り、ウクライナは4月の安保理に参加しない」と表明している。

ロシアのネベンジャ国連大使は3日、記者会見し、ウクライナなどからの批判に対し、「議長国の権限を乱用することはない」とけん制した。

同大使によると、今月24日に国連憲章の原則の擁護をテーマに、ラブロフ外相が議長を務める公開討論を開く予定だという。米英仏などは、ロシアが主催する国連イベントへの参加を拒否することで、ロシアへの抗議の意思表明をする方針だ。

第2次世界大戦終了直後に創設された国連は現在の世界情勢を反映しているとは言えず、強権大国ロシアと共産党独裁の中国が入った常任理事国体制が機能することは難しい。

ロシアは多数の児童をウクライナから自国に拉致連行するなど戦争犯罪をほしいままにしている。ロシアが常任理事国を続けるなら、同じ価値観や世界観を共有する国が新しい国際機関を創設して再出発する以外にないだろう。

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