ウクライナ支援 独、主力戦車供与先送り

「対空防衛」強化では一致

【ウィーン小川敏】独南西部のラムシュタイン米空軍基地で20日、「ウクライナ防衛コンタクト・グループ会議」が開催され、ウクライナ軍に今後も軍事援助を行うこと、特に、対空防衛システムの支援強化で合意した。ただ、最大の課題であったドイツの主力戦車「レオパルト2」の供与では、ウクライナからの強い要請にもかかわらず、ドイツ側は「戦争のエスカレート」を懸念し、歩み寄りを見せなかった。

オースティン米国防長官が開催を呼び掛けた会議には、ドイツ、英国を含む約50カ国の代表が参加した。

前日に就任したばかりのドイツのピストリウス国防相は会議後の記者会見で、 「供与に備え、戦車の状態のチェックを指示した」とした上で、「ドイツが攻撃用戦車の供与を阻止しているといった情報は間違っている。関係国と緊密な調整を行い、レオパルトの供与問題もできるだけ早い段階で決定したい」と述べた。

ウクライナはレオパルト2の供与を望んでいる。ポーランドとフィンランドは自国が保有するレオパルト2の供与を申し出ているが、生産国であるドイツは引き渡しの承認にも慎重な姿勢を崩していない。

会議開始前、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ビデオメッセージで、これまでの支援に感謝を表明、 「私たちはウクライナの戦場で成果を挙げているが、自由を守るための武器が次第に尽きてきた。ラムシュタインでは、ロシアのテロを終わらせるために、航空機、ミサイル、長距離砲などの供給で具体的な決定を下さなければならない」と武器供与の緊急性を強調した。

米国は会議に先立ち、90台のストライカー装甲車など最大25億㌦の提供を発表している。フィンランドは、重砲など4億ユーロ(約560億円)の提供を約束。ドイツは、侵攻開始後、ウクライナに33億ユーロの軍事援助を行ってきた。フランスは4日、装輪装甲車の供与を決定、米独両国は5日に歩兵戦闘車ブラッドレーを供給する意向を表明。英国も主力戦車チャレンジャー2を送ることをそれぞれ明らかにしている。

ドイツがレオパルト供与問題で決定を避けたことについて、ウクライナのアンドリー・メルニク外務次官はウェルト紙日曜版で「ベルリンはロシアからの攻撃を受けているウクライナへの武器援助において貴重な時間を無駄にしている」と失望感を露(あら)わにした。

一方、オースティン氏は同盟国に対し、ウクライナへの支持を止めないよう警告、 「必要な限り、ウクライナを支援することは疑いの余地のないことだ」と強調した。

ただ、レオパルト2の供与に関する議論で、米国はドイツの立場を支持したという。オースティン氏は、会議後の会見で、「ベルリンは非常に長い間信頼できる同盟国であり、将来もそうであり続けると固く信じている」と述べている。近い将来のレオパルト2の供与を見据えての発言と受け取られている。

米国のミリー統合参謀本部議長は会議後、「軍事的観点から見て、ウクライナが今年、領土の隅々までロシア軍を追い出すことは非常に難しい」と述べ、交渉による紛争の終結の可能性を示唆した。ロシア側の占領領土を全て奪い返すまで停戦交渉には応じないと主張するゼレンスキー大統領とは明らかにスタンスが異なる。

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