「氷河期」に突入した仏独 ウクライナ戦争で関係一変

写真右=フランスのマクロン大統領(AFP時事)、写真左=ドイツのショルツ首相(EPA時事)

【パリ安倍雅信】マクロン仏大統領は26日、ショルツ独首相をパリの大統領府に迎え、ワーキングランチを開いた。恒例の関係閣僚理事会が無期延期になる中での開催で、仏独関係は冷え込んだままだ。両国は欧州連合(EU)およびユーロ圏の二大大国であり、英国のEU離脱後、両国の結束は一段と重要になっている。

仏政府のベラン報道官は記者団に、「この仏独エンジンは存続させるつもりだ」と述べたが、ワーキングランチ後の共同記者会見はなかった。防衛、エネルギー、ウクライナを含むEU拡大など話し合うテーマは多いが、合意できる材料に乏しい。

EUはロシア産天然ガスと決別する制裁措置で上昇懸念が強まるガス価格を念頭に、価格の上限を設ける協議に入っているが、ドイツは協力的ではない。経済力のあるドイツは高騰するガス価格抑制策として、個人と企業への総合対策として最大2000億ユーロ(約28兆円)規模の予算を組んだ。財源のないEU加盟国には不可能な措置で、「ドイツは自己中心的」(仏公共放送フランス2)との批判が出ている。

ショルツ首相は3期目に入った中国の習近平国家主席と会うため北京訪問に意欲を見せており、エストニアなどバルト3国も不快感をあらわにしている。フランスの専門家の間では、ウクライナ戦争によって欧州が描いていた地政学的ルールが破壊されたことで、ドイツは欧州のメインプレーヤーと自認するようになったとの見方が出ている。

EUの統合・深化の牽引(けんいん)役だった仏独は、連帯的行動を重視するため閣僚による対話を続けてきた。これはメルケル前独首相時代から維持されていたが、ロシアのウクライナ侵攻で状況は大きく変わった。

ドイツにしてみれば、もはや戦後は終わっており、第2次大戦での敗戦以来、控えていた外国への武器供与政策を転換し、国内総生産(GDP)比1・1~1・5%だった国防費を2%超に引き上げることも表明した。兵器も他のEU諸国と相談することなく、すべてドイツ製で揃(そろ)える方針だ。

ショルツ氏の考えをマクロン氏が強く懸念していることは今や周知だ。仏日刊紙ル・フィガロは社説で、両国関係を「氷河期」と呼び、「重大な地政学的変化の結果であり、ずっと前に始まった大陸の東高西低シフトであり、それは世界を変革する運命にある」と指摘した。

フランスの政治アナリストは、この変化の本質は「眠っていた巨人ドイツが、ますます危険性を増す地域で変化を強いられる中、夜明けに差し掛かっている」と分析。戦後、フランスなど周辺国によって封じ込められたドイツはウクライナ戦争で状況が一変し、自己主張を始めた。フランスは発言力を増すドイツに苛(いら)立っている。

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