児童ポルノ対策にプライバシー懸念

欧州の監視体制 デ ータ保護監督局など

【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)の欧州委員会は、児童ポルノ防止のためにネット上のコンテンツ検出に人工知能を活用した監視プログラムの計画を進めている。欧州データ保護監督局と欧州データ保護委員会は11日、欧州委員会の規制草案に伴うプライバシー侵害への懸念を表明した。

欧州委員会によって今年5月に提示された児童ポルノ防止に関するプロジェクトは、児童の性的搾取と闘うための欧州センターを設立し、「児童ポルノの拡散または勧誘のリスクを検閲する」大規模なオンライン・プラットフォームの構築を目指している。違法な児童ポルノのコンテンツを迅速に検出し削除することを目的としている。

同対策プログラムについて、この数カ月間、プライバシーを扱う非政府組織やSNS事業者などのテクノロジー企業によって非難されてきた。計画している規制は、暗号化されたものを含むすべてのメッセージのスキャンを課し、児童ポルノ・コンテンツを検出し、必要に応じて適切な措置を講じるものだ。

欧州委員会の提案では、主要なネットプラットフォームのサービスに、国家当局によって報告されたコンテンツ削除を強制する「対象を絞った検出義務」を規定している。結果として、ITテクノロジー企業は「法律と既存の技術に従って、可能な限り非侵入的な技術を進化させ、誤検知率を可能な限り下げることが求められている」として懸念の払拭(ふっしょく)に努めている。

ドイツはすでに同プロジェクトに批判的で「個人のメッセージの内容監視は、中国式国家監視の第一歩」だとして差し止めを要求している。欧州データ保護委員会と欧州データ保護監督局は、「この提案の背後にある目的と意図は支持する一方」、「プライバシーと個人データに想定される措置の影響について深刻な懸念を表明する」としている。

欧州委員会側は、どのような検出においても「的を絞り、時間内に制限された」セーフガードによって監視システムは組み立てられたもので、警察に送られる前にコンテンツが誤っていないかどうか確認すると反論している。ヨーロッパでは児童ポルノや小児性愛を目的として誘拐拉致事件が多く、子供が危険にさらされている現状もある。

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