中露への依存に警鐘、ダボス会議 NATO事務総長「国益より価値観を」

24日、世界経済フォーラム年次総会に参加した北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(EPA時事)

【パリ安倍雅信】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日、スイス・ダボスの世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)で演説し、ウクライナでの戦争は、各国の国益よりも価値観を優先する必要があることを浮き彫りにしたと警告した。同氏は「権威主義体制が経済関係にどのように脆弱(ぜいじゃく)性を生み出す可能性があるか」を示したと指摘した。

ストルテンベルグ氏は、ヨーロッパのガス供給に対するロシアの優位性や、第5世代移動通信システム(5G)ネットワーク運営で中国企業が入札で攻勢に出ている問題を指摘。「国際貿易は間違いなく大きな繁栄をもたらしたが、われわれの経済的選択が私たちの安全に影響を与えることを認識しなければならない」と述べた。

「自由は自由貿易よりも重要だ。私たちの価値観の保護は利益よりも重要だ」との同氏の主張は、ダボス会議で安全保障に責任を持つトップの意見として注目を集め、世界経済について話し合う場で、経済の安全保障問題が正面から取り上げられた。

ヨーロッパはロシア産の石油、天然ガス最大の顧客で、ウクライナ戦争でロシアに資金提供していると批判されている。

欧州連合(EU)は現時点で、2022年末までにロシアのガス輸入への依存を3分の2削減するための措置を講じると表明している。フィンランドはNATO加盟申請を行った直後、ロシアからの天然ガスや電気の供給が停止された。5Gインフラ整備では英国、フランス、ドイツなどが中国の参入を阻止する方針を打ち出している。

「自由貿易による利益のために、安全保障に関して信頼できないサプライヤーに市場を開放するわけにはいかない」とストルテンベルグ氏は強調した。