フランスを襲うオミクロン株 実質的ワクチン義務化へ

新規感染者数が過去最多に

フランス政府は昨年後半、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大で、新たな対策に乗り出した。同様に感染者数が過去最多を更新している英国、イタリア、ドイツなどでも1月に一定の行動制限を実施する構えだ。特に3回目のワクチン接種の促進や未接種者の行動制限に踏み切る構えだが、反対派の抗議も起きている。
(パリ・安倍雅信)

1日、大勢が集まるパリの凱旋(がいせん)門(EPA時事)
1日、大勢が集まるパリの凱旋(がいせん)門(EPA時事)

フランスでは昨年12月31日から、パリおよびパリの二つの空港で、屋外でもマスクの着用が義務付けられた。パリ警視庁は、市内の路上を含む公共の場所、シャルル・ドゴール空港やオルリー空港の敷地内などで、11歳以上のマスク着用義務が課せられ、違反者には罰則が適用される。

これは外国人旅行者や滞在者にも適応される。カステック首相とベラン連帯・保健相は12月27日、国民に向けたテレビ記者会見で、フランスの状況について説明し、現在、新型コロナの第5波に直面し、デルタ株の流行は完全に収束していない一方、新たにオミクロン株が流行し、1日の新規感染者数が10万人を超え過去最多を記録したと述べた。
新たな措置として、3回目のワクチン接種開始時期を前倒しし、12月28日から、2回目のワクチン接種もしくはコロナに罹患(りかん)後1回目のワクチン接種から4カ月以降としていた3回目の接種開始を、3カ月以降に短縮した。そのため、全国の接種会場には3回目の接種を受けようと長蛇の列ができている。

さらに企業のテレワークを義務化し、1月3日以降、テレワークが可能な全ての企業や従業員は、当面3週間の間、週に最低3日のテレワークの実施が義務付けられた。

また、1月3日から3週間の間、レストランやバーでの立ったままでの飲食は禁止された。さらに劇場や映画館等の公共施設、長距離移動を含む電車、コンサート、スタジアム等での飲食も禁止された。また、立ったままのコンサートを禁止し、屋内での大規模な会合は2000人、屋外では5000人に制限した。

仏政府は、ワクチンが現時点での感染抑制に最も有効な手段と位置付け、カステックス首相は「ワクチンは、自身の感染と他人の感染リスク、重症化を防いでおり、他者や医療従事者を守ることにもつながる。にもかかわらず接種に抵抗する人々には憤りを感じる」と強い口調で述べた。

また、1月15日以降、衛生パスをワクチンパスに変更する法案を閣議で承認した。年初開催の国会で採決されれば、レストランや映画館への入場、長距離移動の際にはワクチン接種の有無だけが有効となり、抗原検査やPCR検査の陰性証明だけではパスは無効になる。結果的に実質的なワクチン接種義務化に近づくことになる。

同法案をめぐっては、1月1日にワクチン接種義務化に反対してきたグループの抗議デモがパリなどで行われた。大統領選が4月に迫っていることもあり、マクロン政権に反対する勢力が、ワクチン義務化反対デモを毎週実施しており、今後、ワクチンパス導入に切り替わる可能性が出てくれば、抗議行動は過激化する可能性もある。そのワクチンパスも今後、段階的に3度目の接種がされていない人々に対して、無効とする方針を出しており、自治体が設けた接種場所に人々が殺到している。

フランスの新規感染者数は昨年12月31日時点で23万2200人と過去最多を記録し、コロナ関連での入院者数は2万人に近づいている。集中治療室にも1万7000人以上入院しており、1月には医療体制の逼迫(ひっぱく)が懸念される。
英、イタリアも12月31日の一日の感染者数が18万9846人、14万4243人と記録を更新中だ。結果的に、パリ、ロンドン、ベルリンを含む欧州の多くの都市は、新年の公式イベントをキャンセルした。

一方、各国政府は、全国規模での厳しい行動制限を導入することには慎重だ。背景には、オミクロン株の感染力がデルタ株より強い一方、重症化リスクが低く、同時に3度目のワクチン接種を進めることが感染抑止力になるという認識もある。
ワクチン未接種者に行動制限を課すことには反対意見もあるが、マクロン仏大統領は「2022年は、感染拡大が終わる年になるだろう」と希望的見方を示している。

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