トップ国際中国【NEWSクローズ・アップ】中国軍トップ張氏失脚 台湾侵攻へ布石か 習主席の竹馬の友も〝落馬〟

【NEWSクローズ・アップ】中国軍トップ張氏失脚 台湾侵攻へ布石か 習主席の竹馬の友も〝落馬〟

張又・中央軍事委員会副主席(AFP時事)

 中国人民解放軍制服組トップの張又侠(ちょうゆうきょう)・中央軍事委員会副主席と同委員会の劉振立(りゅうしんりつ)・軍統合参謀部参謀長が失脚した。中国国防省が24日、共産党が「重大な規律・法律違反」の疑いで張氏と劉氏を調査することを決めたと発表。張氏は台湾武力統一に慎重だったことから、中国の台湾侵攻のリスクは増した可能性がある。(池永達夫)

 張氏は習近平国家主席の幼馴染(なじ)みだった。昨年10月の軍粛清で軍事委員会副主席の何衛東(かえいとう)氏や同委員の苗華(びょうか)氏が粛清対象になっても、張氏とその右腕となる劉氏は残っていた。

 中央軍事委は指揮権を持つ軍最高指導機関だ。その中央軍事委は4年前に発足したメンバーの習氏以外のほぼ全員が一掃されたことになる。習氏は結局、竹馬の友をも落馬させることで、軍権完全掌握に成功するのか、裸の王様になるだけなのかもう少し様子を見ないと分からない。

 「政権は銃口から生まれる」という毛沢東の言葉は、現在の中国でも生きている。政治的求心力は軍を後ろ盾にしなければ担保されないのが中国共産党政権の業(ごう)となっているからだ。

 なお今回の粛清は、最初に国防部報道官が公式発表し、軍機関紙・解放軍報が社説で張氏批判を論じた。習氏はまず、国防部と軍広報を押さえたわけだ。それにしても人民日報や新華社、中国中央TVなど中国共産党の主要メディアの扱いは小さくキャンペーン的ではなかったことが気にかかる。張氏失脚は毛沢東の林彪(りんぴょう)粛清に匹敵する大事件のはずだが、共産党全体の乗りの悪さが何を意味するのか解明する必要がある。

 ただ、主要幹部が一掃されたことで、軍の機能不全によって台湾侵攻リスクは遠のいたとみるのは的外れだ。

 張氏は台湾侵攻には慎重姿勢を崩さなかった。1979年の中越戦争に従軍した張氏は、無謀な戦争の悲惨な結末を身をもって知っており、米国と対峙(たいじ)することになる台湾侵攻も「現実的ではない」としてブレーキ役を担ったとされる。

 建軍100年を来年迎え、建国の悲願である中台統一へ動きたい習氏にとって、張氏は邪魔だったのかもしれない。そうした苦言をもいとわない軍重鎮が消え去り、イエスマンだけが残れば「台湾侵攻リスクの高さ」を主張する輩(やから)も消え去る。

 拓殖大学元教授の澁谷司氏は「習主席は台湾武力統一の野望を捨ててはおらず、中台戦争の可能性は多少なりとも高まったとみるべきだ」と指摘する。

 また、米紙などが報じた張氏の核機密情報漏洩(ろうえい)疑惑には、冷静に分析する必要がある。だいたい、全体主義国家で失脚すると理由は後付けでどんどん膨らむものだ。司法の独立どころか三権分立もなく報道の自由もない共産党一党独裁国家では、「勝てば官軍、負ければ賊軍」の世界だ。

 確かに米空軍大学研究所は2022年10月、機密情報に類する中国の核兵器関連リポートを含んだ255㌻の報告書を上程しており、その顕著な詳細ぶりからどうやって情報を入手したのか話題にはなっていた。

 だが、米国があえてスパイ情報を流すことで、習氏をして側近を粛清させ軍の体力をそぎ落とし内部分裂を誘う古典的手法を取ったとも考えられ、鵜呑(うの)みにすることは危険だ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »