トップ国際中国中国メディア「日本は対価支払った」 日中対立、収束阻む「謝らない文化」

中国メディア「日本は対価支払った」 日中対立、収束阻む「謝らない文化」

中国の習近平国家主席=11月25日、北京(AFP時事)
中国の習近平国家主席=11月25日、北京(AFP時事)

 高市早苗首相の国会答弁に反発した中国は次々と一方的な対抗措置を取り、日中関係が悪化している。中国は、経済の不調からたまる国内の不満の矛先を日本に向けることには成功したようだ。ただ、このまま対立を続けることは中国経済にとってもマイナスの影響となることは避けられず、今後はいかに収束させるかが重要になる。メンツを重視し、謝らない文化が足を引っ張る中、中国がどう国民感情を収めるのかが問われている。(宮沢玲衣)

 日中関係は11月以降、急激に冷え込んでいる。事の発端は立憲民主党の岡田克也元外相が高市首相にしつこく質問し、引き出した、台湾有事は「存立危機事態」になり得るとした国会答弁だ。

 中国外務省は答弁の直後には特に大きな反応を示していなかった。13日に「14億人の中国人民は決して許さない」と答弁の撤回を要求するまで6日を要した。そこから政治問題化させ、日本への渡航自粛の呼び掛けや、日本産水産物の対中輸出の事実上の停止、国連の場での度重なる日本批判、自衛隊機へのレーダー照射、日本のエンタメ制限など、一方的な対抗措置を次々に繰り出し、日本への圧力を強めてきた。

 中国が発言の直後に国を挙げて反発しなかったのはなぜなのか。中国人はもともとメンツを強く重んじ、謝罪をしたら負けという「謝らない文化」がある。国会答弁の翌日に薛剣駐大阪中国総領事がX(旧ツイッター)に投稿した「汚い首は斬ってやる」という暴言が中国上層部からの指示なのか、習近平政権への忠誠心を示すための現場の暴走だったのかは不明だが、必要以上に事を大きくしたのは間違いない。

 中国が、日本の歴代政権と変わらない今回の「存立危機事態」の解釈にここまでこだわる理由の一つに、中国国内の経済不安から国民の不満をそらす狙いがあるとみられている。

 中国は不動産不況やデフレスパイラルなどが経済に深刻な被害をもたらしている。中流階級以上の人々が他国に移住しようとする動きが出ていることからも、中国の将来にいかに希望を描けないのかが分かる。国内が瓦解(がかい)しそうな際に「外敵」をつくり上げ、愛国心で国民をまとめようとすることは権威主義的な国がよく取る手法だ。

 中国は台湾統一を「核心的利益」と位置付けている。だが実態は「中国の」ではなく「習近平政権の」核心的利益だ。権力が集約し、後継者も育っていない現状を見ると、4期目の国家主席も習氏が担うことになる可能性がある。ただ、異例の3期目(2023~28年)就任時に台湾統一を掲げた習氏にとって、日本が台湾有事の際に「存立危機事態」として米軍を支援し、台湾侵攻が失敗に終わることにでもなれば、メンツは失われ、体制の正当性自体にも傷が付くことになりかねない。

 中国が各分野で日本に圧力を強める一方で、先月21日に中国国営メディアが「日本は既に対価を支払った」と報じた。「中国人観光客が日本に行かず大きな経済的損失を与えた」「日本を周辺国から外交的に孤立させた」などがその理由として挙げられたが、国内で広がる対日感情に歯止めをかけたい意図が透けて見える。

 日本にとって台湾周辺の航路は物流の生命線だ。ここで、答弁を撤回するなど譲歩の姿勢を見せれば、事態をいっそう悪化させることは間違いなく、高市政権としても、毅然(きぜん)とした対応を取り続けるしかない。

 中国にとっても日中関係悪化で日系企業が国内から撤退するのは避けたいはずだ。中国は自ら振り上げた拳をどう下ろすのか。反日で盛り上がる国民を納得させられなければ、その矛先は共産党指導部にも向かいかねない。

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