
中国当局に不当逮捕された気功集団「法輪功」学習者が強制的に臓器を摘出され、移植ビジネスなどに利用されていると告発したドキュメンタリー映画「ヒューマン・ハーべスト」の上映会が11日、都内で開催された。主催したのは一般社団法人「中国における臓器移植を考える会」(SMGネットワーク)。上映後、台湾出身の同会メンバーである王雪静さんは、「日本に不正な渡航移植を制限する法律が存在しない」と述べた上で、「何も知らず参加してしまう日本人がいるかもしれない」と、自国民を守る法整備の必要性などを訴えた。(石井孝秀)
ドキュメンタリー映画「ヒューマン・ハーベスト」は、中国共産党政権による法輪功学習者への弾圧過程を追跡。非人道的な生体臓器移植に関わり、罪悪感に悩む医療関係者の証言や臓器移植のために中国に渡航した後、臓器収奪の実態を知って後悔する患者家族の姿が描かれている。
王さんによると、台湾では不正な臓器移植への問題意識が強く、2015年に法改正が行われ、移植目的で海外に渡航する場合、臓器の出どころの明示などが求められる。一時期、多くの患者が移植のために中国へ渡航していたが、厳しい罰則が定められたことで、現状では「中国で移植を受ける人は減っている」と強調した。
また、中国国内では近年、子供が突然失踪する事例が相次ぎ、臓器収奪を目的とした誘拐ではないかという疑念が、中国の国民にも広がっていると報告。王さんは「報道されなくても、SNSなどを通じて情報を求める親たちがSOSの声を投稿する。すぐ消されてしまうのだが、消される前に画面を保存した人が、また投稿するというのを繰り返している」と、状況を説明した。
臓器収奪はさらに幼い命も標的となっている。理由についてSMGネットワークは、中国で新生児や極低体重乳児の臓器を成人に移植する事例が増加していることを指摘し、乳児の臓器は①強い再生能力を持ち、移植後6カ月から9カ月で成人の大きさに近づく②幹細胞が豊富で、拒絶反応が成人の臓器より低い③若い臓器は耐用年数が長く、長期延命に有利とされる―の3点の特性を挙げている。
法輪功に対する人権被害を調査する国際団体「法輪功迫害追跡国際組織(追査国際)」がこのほど発表した報告によると、乳幼児のドナーを確保するため、拉致や買収などで集めた女性を強制的に妊娠させ、移植用の乳児を産ませる拠点が中国国内に複数あるという。この女性たちの中には、法輪功学習者が含まれている疑いがある。
しかも、これらの乳児たちは臓器移植の成功率を上げるため、移植患者の家族から採取した精子による人工授精で誕生。臓器の供給を早める目的で、多くの乳児が強制的に早産させられているという。
海外の臓器移植を巡る深刻な問題とリスクに警鐘を鳴らすため、SMGネットワークは5月30日、横浜市議会へ「不正な臓器取引等を防止するための環境整備」などを求める陳情書を提出した。
同陳情書は9月25日、横浜市議会で採択され、国会に対して意見書が提出されることになった。同ネットワークはホームページを通じ、「今回の横浜市議会での採択は、重要な一歩ではありますが、これはまだ始まりに過ぎません」と述べ、ほかの自治体でも同様の意見書の提出や海外渡航による臓器移植のリスクについて情報発信を進めていくとしている。






