トップ国際中国悪徳医者を超えた“悪魔医者”――想像を絶する中国のモラル崩壊

悪徳医者を超えた“悪魔医者”――想像を絶する中国のモラル崩壊

こんにちは。元・中国人で現・日本人の漫画家、孫向文です。
最近、中国の一人の悪徳医師による犯行が中国国内の各メディアで大々的に報じられ、SNSで大炎上しました。

しかしこの事件は、まさに氷山の一角に過ぎません。現代の中国共産党政権下における中国人のモラルの崩壊は、想像を絶するレベルに達していて、そのボーダーラインすら見いだすことはできません。

●ある大学院生の不審死

事件の発端は、2024年5月8日、中国湖南省の「中南大学湘雅第二病院」で当時実習生だった大学院生・羅帥宇さん(1996年生まれ、2024年死亡)が、宿舎の15階から転落死したことから始まります。

手術中のイメージ

湖南省警察は当初、「自殺であり、他殺の可能性はない」と発表しました。しかし、この発表には重大な裏がありました。羅帥宇さんの死は、彼が中国医療界の不正を内部告発しようとしていたことと深く関係していました。
どういうことかというと、彼が、指導医の劉翔峰医師とそのチームが行っていた「過剰手術」「偽装病歴」「結石の捏造」などの証拠を収集していた、と複数の報道で確認されました。

さらに、亡くなった羅帥宇さんの復旧されたパソコンデータからは、2021年9月~2023年9月の間、湘雅第二病院の名義で総額40~41万元の「労務報酬」名目の振込が確認されていて、それを被害者家族は不審に思っていました。
また、転落現場は非常に狭く、落下には助走が必要な場所だったため、到底「単独の自殺とは矛盾している」との指摘もあります。

警察に返却されたノートパソコンのデータは削除されていましたが、遺族は業者に依頼してパソコンを復旧してもらったところ、大規模な告発ファイル(録音・映像を含む)が多数見つかりました。

さらに「85.3万元の補償」や「1500万元の口止め料」が病院側から羅帥宇さんに提案されていたことが分かりました。これらは明らかに病院側の隠蔽の証拠だと家族は主張しています。

●悪徳医師の犯罪が明らかに

結果、2025年6月12日、湖南省衛生健康委員会は、劉翔峰医師が2024年10月31日に「過剰手術」「虚偽病歴の作成」「贈収賄」などの罪で懲役17年の判決が下されたことを発表しました。

さらに驚くべきことに、劉翔峰医師は、内部告発を行おうとしていた教え子・羅帥宇さんを殺害していたことも明らかになりました。
では、この劉翔峰医師は具体的にどのような卑劣な医療犯罪を行っていたのでしょうか?
実は彼、中南大学湘雅第二病院・救急診療科の副主任を務めていて、2022年以降、複数の患者から告発されていました。中国メディアの報道によると、様々な手口で患者やその家族を欺いていました。

《ケース1》
正常な分娩が可能な妊婦が救急搬送された際、劉医師は妊婦の下半身に別人の血液を塗り、「君の妻は大量出血しているので、特別な治療が必要だ」と家族に虚偽の説明をしました。
これを信じた家族は高額な治療費を支払い、やっとの思いで出産を終えた後も、無事出産できたのは劉医師の“おかげ”だと信じ、夫が多額の謝礼金まで渡したとのことです。

《ケース2》
ある88歳の女性患者に対して、故意に別の患者の体から取り出した結石を体内へ“埋め込み”ました。
退院後、その女性患者が再び体調を崩して受診した際には「これは深刻な状況だ」と偽って再度高額な手術費用を請求しました。
家族はそれが詐欺だとは気づかず、結局高額の治療費を支払ってしまいました。
故意に88歳の女性患者の病状を悪化させただけでなく、高額医療費も請求するという何とも卑劣な行為をしたわけです。

●新手の“医療ビジネス”

中国では中国共産党主導、司法機関、警察が隠蔽する違法な臓器売買が蔓延している一方で、こうした「偽造診察・故意に病状を悪化させる行為で患者とその家族から金を巻き上げる一方で、自身は英雄医師として感謝される」という、まったく新しい闇医療ビジネスが成立してしまっています。

また、警察は最初、羅帥宇さんの転落死を「あくまでも自殺であり、他殺の可能性はない」と決めつけていました。警察が病院の不正行為を隠蔽していたのではないかと勘ぐってしまいます。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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