太陽光パネルも脱中国を

中国・新疆ウイグル自治区でのウイグル人の強制労働問題で、日本ウイグル協会などが16日、都内で報告会を行った。同協会のレテプ・アフメット会長は、日系企業30社などが取引を通じて強制労働に間接的に関与しているとして、「このままでは日本の価値観と日本の企業の名誉が汚されることになりかねない」と警鐘を鳴らした。
同協会と国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)が行った最新の調査で、ウイグルの強制労働に「何らかの形で関与していることが確認された」のは日系企業と日本に進出している中国企業合わせて34社だった。これは2021年の調査結果を基に、米国がウイグル人権弾圧への加担を理由に輸入規制対象とした企業や新疆ウイグル自治区に拠点を持つ企業と取引していることなどを基準にして選んだ。
このうち6社が、同協会などが送った質問状に対して取引関係を認めたが、シャープ、オプテックス、丸久はすでに取引を停止していると回答。8社は質問に答えず自社の経営方針を述べるにとどめ、無回答が8社、残る12社は取引自体を否定した。調査対象の中で唯一、新疆ウイグル自治区のウルムチで事業展開している日立製作所は無回答だった。
また、米国が22年施行のウイグル強制労働防止法で制裁対象としている中国企業と取引関係がある企業は9社だった。
欧米では強制労働で生産された製品の流通規制が進む中、アフメット氏は「日本が制裁逃れに利用される可能性がある」と危機感を示し、「国としてもしっかりと調査し、日本の企業の名誉と利益、日本の価値観を守ることを示す時だ」と求めた。
安価なことから日本国内の太陽光発電に多く使用されている中国製太陽光パネルも、生産の中心はウイグルの強制労働だと指摘されている。これについてHRNの伊藤和子副理事長は「環境問題に取り組むことは重要だが、そのために人権侵害に加担するのは本末転倒だ」と批判した。
報告会には日本ウイグル国会議員連盟の古屋圭司会長や高市早苗副会長など、国会議員も参加した。