姿消すウイグル知識人 中国の自治区 現状を訴えシンポ 日本の学者も積極的に関与を

登壇したレテプ・アフメット 日本ウイグル協会会長=20 日、東京都目黒区の東大駒場 キャンパス(辻本奈緒子撮影)

中国政府によるジェノサイド(集団虐殺)が指摘されている新疆ウイグル自治区の現状を伝えるシンポジウムが20日、東京都内で開かれた。主催した日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長は、ウイグルで2017年以降、大学教授やジャーナリストなどの知識人が短期間のうちに行方不明になったり、死刑や懲役刑になったりして姿を消したと報告。「日本の学者たちがウイグル問題にもっと積極的に関与してほしい」と訴えた。

アフメット氏は、習近平政権下で焚書(ふんしょ)が行われるなど、知識人らの痕跡が消されている現状を写真付きで紹介。知識人の中には、東京理科大で博士号を取得したタシポラット・ティップ新疆大学元学長(18年に執行猶予付き死刑宣告)など、日本と縁のある人もいると強調した。

中国情勢に詳しい阿古智子東大大学院教授は、ウイグル人労働者らが徹底監視された工場で低賃金か無休で働いている一方、収容所の「職業訓練」を担当する企業に多額の補助金がつぎ込まれていると述べ、「ウイグル人労働者は民族団結の宣伝に利用されている」と指摘。「当事者の言葉を政府、企業、市民、学者が真摯(しんし)に聞く日本をつくっていかなければいけない」と語った。

皇學館大学の村上政俊准教授はウイグル問題にまつわる米国の対中政策について講演し、バイデン政権で行われている政策はトランプ政権時代からの継続性が色濃いと強調。今秋の米大統領選でどちらが勝利しても、問題意識や制裁は続くとの見通しを示した。

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