
新疆ウイグル自治区の強制収容所などで使用されている監視カメラに、複数の日系企業が部品を供給しているとして、日本ウイグル協会と国際人権団体が19日、都内で記者会見を開いた。同協会のレテプ・アフメット副会長は、「日本の技術が悪用されている」と強調した。(辻本奈緒子)
問題が指摘されたのは、中国メーカー「ハイクビジョン」製の監視カメラで、中国共産党当局によるウイグル人等への人権侵害に関わったとして米国が制裁対象としているもの。協会側が現地で使用されている製品と同シリーズのカメラを入手し、専門業者に委託して分解調査したところ、センサーやメモリーなどの部品にソニーやセイコーエプソンをはじめとする日系企業7社の製品を確認したという。
調査後、協会側が出した質問状には、このうち6社が回答したが、部品の供給を認めたのは1社のみだった。アフメット氏は供給について明言を避けた企業について「回答を見る限り調査も確認もせず、経営方針を事務レベルで送ってきているだけ。全く回答になっていない」と不満を露(あら)わにした。
また、「なぜ日本や他の先進国の部品が使われているかというと、恐らく自分たち(中国)で作れないものを他国から調達している」とし、「諸外国の部品がないとカメラの製造ができない可能性がある。部品の供給を断ち切ることが必要だ」と訴えた。
中国で人権侵害と指摘される大規模監視システム「一体化統合作戦プラットフォーム(IJOP)」では、監視カメラによりウイグル人の行動パターンが記録され、普段より帰宅が遅かったり、携帯電話の電源を切っているなどパターンから少しでも外れた行動を検知すると警察に通報されるようになっているという。実際、昨年5月に流出した「新疆公安ファイル」にも収容者の収容理由としてそうした内容が書かれていた。