中国新指導部、李克強氏の去就焦点 習氏腹心重用、1強優先へ

3、4人刷新、後継者見えず

16日、北京の人民大会堂で開幕した中国共産党大会で演説する習近平総書記(国家主席)(AFP時事)

中国では、5年に1回の党大会が16日から開幕し、閉幕翌日の23日、党最高指導部である政治局常務委員会メンバーが発表される。党トップの総書記には3期目が確実視される習近平国家主席が留任し、引退する3、4人に替わって新メンバーに習近平体制を強固にする習氏側近が加わる見通しで、李克強首相の去就も注目される。(南海十三郎)

党大会では連日、習氏の礼賛が相次ぎ、建国の父である毛沢東に使われた「領袖(りょうしゅう)」や習氏への忠誠心を求めるスローガン「二つの確立」が多用され、習氏の3期目続投は確実な情勢だ。

最高指導部人事は「2期10年(1期5年×2)」、「七上八下」の定年制(最高指導部のメンバーは党大会時の年齢が67歳以下なら留任、68歳以上なら離任)、政権2期目のメンバーには次期政権の指導者候補となる若手を2人を入れておくなどの党内部規定(不文律)があったが、例外ケース(68歳以下でも引退)も散見されるようになり、習氏は権力核心の座を得て2018年の憲法改正で国家主席の任期の制限を撤廃。最高指導者であり続ける制約がなくなり、10年かけて党内部規定を書き換えた。

習氏は、昨年来、毛沢東と並ぶ「人民の領袖」という別格の存在として扱われており、毛沢東に匹敵する権力を得たことで世代交代がどのような形で進むのか、ポスト習候補も明示されないまま5年後を見据えるしかない1強による不透明さが際立つ。

政治局常務委7人のうち、定年引退する2人(栗戦書氏、韓正氏)、引退年齢に達していない1、2人(王滬寧氏など)が退き、「六〇後(1960年以後の生まれ)」の若手が加わり、世代交代を印象づけようとする習氏の意向が最終段階で強まっている。

政治局常務委の直前人事予想で定評のある台湾紙「聯合報」は「四正(67歳以下)」の4人(習近平氏、李克強氏、汪洋氏、趙楽際氏)は留任し、3人(栗戦書氏、韓正氏、王滬寧氏)が退任して入れ替わると報じる。若返りによる刷新イメージよりは5年、10年後を見据えた習近平体制の盤石ぶりを内外に誇示する新指導部人事と見ているが、習氏側近を大幅に登用するために政治局常務委メンバーを7人から9人に増やし、世代交代を印象づける可能性も否定てきず、習近平派が有利となる人事工作は最終段階で急速に強まっている。

注目されるのは李克強首相(67)の去就。李氏は胡錦涛前国家主席の流れをくむ団派(党の青年組織である共産主義青年団出身者)のエリートだが、習近平体制になって習氏側近が重用され、団派は冷遇されて傍流になりつつある。定年年齢に達していないので留任なら団派の胡春華副首相(59)が次期首相になる芽がある(英BBC)との見方もある一方、来春決まる首相ポストも習氏側近(李強氏)となり、団派が排除されるとの見方が強まっている。李氏本人は政治局常務委メンバーから退任しても来春に全国政治協商会議(政協)主席、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員長ポストになる可能性も取り沙汰されている。

政治局常務委メンバーに新たに昇格する可能性のある有力候補としては、丁薛祥(ていせつしょう)党中央弁公庁主任(60)、李強上海市党委書記(63)、李希広東省党委書記(66)、蔡奇北京市党委書記(66)、黄坤明党中央宣伝部長(66)らで、いずれも習氏の腹心だ。他に団派の胡春華副首相(59)が含まれる。

鄧小平は国家主席を復活させて「2期10年まで」(党総書記の職も退く)という10年ごとに最高指導者が交代する人事システムを確立してきたが、国家主席の任期制限撤廃は、集団指導体制から1強による権力集中へ毛沢東時代に引き戻す動きとなり、健全な世代交代を阻む老練な中国式人治の歪みを増幅し、長期の院政を助長しかねない。

spot_img
Google Translate »