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中国各地で「日本街」誕生、反発も

蘇州、コスプレ女性連行 人気漫画の和服を撮影 騒動に

中国各地で日本の繁華街を再現した「日本街」が続々と誕生後に批判を受けて営業変更する中、日本街がある江蘇省蘇州市で日本の人気漫画のヒロインをまねた浴衣姿のコスプレ撮影をした中国人女性が騒動誘発容疑で警察当局に連行された。連行時の動画がSNSで出回り、賛否をめぐり物議を醸している。(南海十三郎)

上海から西へ80キロ、新幹線で30分で到着する江蘇省蘇州市はシルクと水郷で「東洋のベニス」と呼ばれるほど、国内有数の観光地。市内の日本企業向けに整備された淮海街(わいかいがい)の一角にある商店街が昨年から「雰囲気や看板がまるで日本に来ているような気分」とSNS上で景観が話題になり、若者が集まる日本風建物や日本食レストランが多い「日本街(日本風情街)」として知られるようになった。

新型コロナウイルスの影響で日本への旅行が制限される中、日本に来ているような気分だけでも味わいたいと思う若者は多く、日本のアニメファン、漫画ファンの「宅男(オタクの男性)」、「宅女(オタクの女性)」たちが和服、浴衣姿で記念撮影する姿が絶えない人気スポットとなっている。一方で蘇州は南京に近く、南京事件での反日感情から手厳しい批判的な声も一部で渦巻く。

10日、蘇州市内の日本街である淮海街で日本の人気漫画「サマータイムレンダ」のキャラクター、小舟潮(こぶねうしお)(日本人とフランス人のハーフという設定)のコスプレ浴衣姿の中国人女性が記念撮影していたところ、警官に取り囲まれ、挑発行為だなどの理由で女性らを聴取し、連行した。

理不尽さに納得いかない女性は14日、中国版ツイッター・微博(ウェイポー)に事の顛末を説明。現場の動画では、警察官が女性との話し合いの中で突然声を荒らげ、力ずくで女性を連行する様子が映っている。

女性の証言によると、警官は調書で携帯電話をチェックして写真画像を削除。コスプレの衣装を没収し、内容をネットに上げることも止められ、女性はおよそ5時間後に解放されたという。

ネット上では「公共の場で和服がダメなら洋服も規制されるということか」「動画や書き込みを見る限り、民族感情を傷つける行為は何もしていない」「怒鳴り声を聞くと、警官の方が挑発しているように見える」「警察は職権乱用なのではないか」など、大半は女性に同情的で警官に批判的な書き込みが多い。

一部では「なぜ中国人が中国で和服を着なければならないのか」「公共の場での和服着用は規制しなければならない」「南京からほど近い蘇州にこんな場所を作るなんて不謹慎だ」などの声も上がっている。愛国が親日を上回る世論になると、日本街は風前の灯火(ともしび)だ。

蘇州市の日本街は、日系企業の多い地域。日本人学校も近く、約600メートルの通り沿いに日本語の看板、赤提灯(ちょうちん)が飾られ、地元政府主導で再整備され、昨年9月下旬に完成して1年に満たない。

中国の日本街は昨年、蘇州だけでなく、遼寧省大連市、広東省仏山市でもオープンした。いずれもオープン当初は人出が多く、順調に見えたが、香港に近い広東省仏山市には昨年8月、東京・新宿の歌舞伎町を模した路地や日本語の標識、日本の人気アニメにちなんだ看板、オブジェが並ぶ「一番街」がオープン。SNSで話題を集め、運営会社が「著作権、意匠権上の問題がある」との指摘を受けて一部の看板を撤去する事態も起きた。

去年8月、大連市には総工費およそ1000億円をかけた日本街の商業施設「盛唐・小京都」がオープン。日本の商品を販売し、京都の清水寺周辺の街並みを忠実に再現した「小京都商業街」が人気の的だったが、ネット上では「日本に侵略された歴史を忘れるな」「外国のまねをせず、地元文化を大事にすべきだ」など批判が出たため、わずか1週間で営業停止。施設がある金石の地名を使って名称を「金石万巷」に変更し、再オープンした。日本に加え、ロシアやイタリア、北朝鮮などの商品も扱うということで当初のコンセプトを大きく変更した形となっている。

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