中国・北京五輪 マスコットの人気と影

帰化選手が人気、商戦に熱 違法コピー取り締まり、一罰百戒

パンダをモチーフにした北京冬季五輪の公式マスコット「氷●(=土へんに敦)●(=土へんに敦)(ビンドゥンドゥン)」や米国出身のフリースタイルスキー女子で金、銀メダルを獲得した中国帰化の谷愛凌(こく・あいりょう=アイリーン・グー)選手が人気に火が付き、公式グッズは品薄で超高値で売買されている。詐欺被害が発生しているだけでなく、違法コピーグッズが出回り、2008年の北京夏季五輪と同様、当局は一罰百戒で厳しい取り締まりに臨んでいる。(深川耕治)

中国浙江省東陽市で摘発される北京冬季五輪のマスコット「冰墩墩(ビンドゥンドゥン)」の違法コピー商品(中国のネット画像より)

ビンドゥンドゥンは氷のスーツと金のハートを持つ、ウィンタースポーツ好きな幼いパンダ。「●(=土へんに敦)●(=土へんに敦)」は「ずんぐりむっくり」を表し、「温厚で健康的、陽気で可愛らしさをパンダに結び付け、強靱(きょうじん)な身体と人を勇気づけるオリンピック精神をシンボルにした」(メインデザイナーで広州美術学院の曹雪教授)として表現している。

今回の五輪では約5000種類の公式グッズが販売され、ビンドゥンドゥンの公式グッズは入荷するとすぐに完売するほどの大盛況ぶり。コロナ禍でも小売業の販売も押し上げる。公式グッズ店は主要商品の販売数を1人1個に限定し、新型コロナウイルス対策で入店者数も制限。五輪期間中の公式グッズの売り上げは25億元(約450億円)に達するとの試算もあり、記者(深川)が現地入りした2008年の夏季五輪の実績を超える見通しもある。

ビンドゥンドゥンは宇宙服のような氷の衣装をまとったデザイン。中国メディアによると、約3500円の人形が10倍の価格で転売された事例もあるほか、公式グッズの売買をめぐる詐欺で約70万円をだまし取られる事件も発生。日本のフリーマーケットアプリ「メルカリ」でも1万6000~2万円の高額で出品されている。

ビンドゥンドゥンの人気は、日本メディアの中継で取り上げられたことがきっかけ。五輪の競技で3位以内に入った選手に手渡されたことなどでさらに過熱。ネット大手、アリババ集団の通販サイトでもわずか15分間で5000個が売り切れた。

中国選手団で注目を集める米カリフォルニア州出身の谷愛凌選手は米国人の父と北京出身の母を持ち、北京五輪に中国代表として出場するため19年、15歳で中国国籍を取得。中国が過去の冬季五輪で獲得したスキー競技の金メダルは一つだけだったことから、フリースタイルスキー女子での金、銀獲得は画期的で帰化選手としては群を抜く注目度だ。ティファニー、ルイヴィトン、ラッキンコーヒー、中国銀行など20ものブランドとスポンサー契約を交わす人気ファッションモデルでもあり、商業収入の面でも破格だが「共同富裕」と逆行しかねない危うさもある。二重国籍疑惑をうまくかわし、米スタンフォード大学への進学が決まっている。

五輪景気に乗じて違法コピー商品問題は避けることができないのが中国

中国国家知的財産権局は14日、北京冬季五輪に関わる不当な商標登録を徹底して取り締まることを発表。人気スター選手となった谷愛凌選手やビンドゥンドゥンを含む商標登録申請429件を却下した。共産党中央宣伝部幹部は記者会見で、ビンドゥンドゥンなどの違法コピー商品を作った容疑で被告に懲役1年、罰金4万元(約72万円)の判決が最近言い渡されたことを明らかにして一罰百戒を狙っている。

具体的には浙江省寧波、重慶、江蘇省南通などで違法コピーしたビンドゥンドゥンのぬいぐるみ製造工場、店舗からTシャツやおもちゃなどさまざまな関連グッズが当局に押収され、ケーキ屋ではビンドゥンドゥンのデザインを使ったケーキが無許可販売されたという。当局は五輪のイメージ悪化を避けるために取り締まりに躍起だが、イタチごっこの構図は08年の北京五輪と変わらない。