プーチン露大統領の北京訪問 ウクライナにらみガス供与へ

習主席との会談で実質支援得られず

ロシアのプーチン大統領は4日、北京五輪の開会式に併せ中国・北京を訪問し、習近平国家主席と会談した。ウクライナ問題などを背景に中国にすり寄った形だが、中国側から実質的な支援は得られずに終わった。(モスクワ支局)


プーチン氏は中国訪問に先立ち、中国・新華社通信に署名入りの「ロシアと中国 未来を見据えた戦略パートナー」を寄稿した。クレムリンのウェブサイトにもこの寄稿が掲載された。

4日、北京で、記念撮影に応じる中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領(AFP時事)

ロシアと中国の政治・ビジネスの関係強化がその内容である。プーチン氏はロシアの戦略的課題の一つとして、シベリアと極東の開発加速を挙げ、次のように指摘した。

「シベリアと極東は中国に最も近いロシアの地域であり、中国とこれら地域の関係を積極的に発展させたい。中国の投資と技術を呼び込み、グローバルな交易・輸送ルートを拡大したい」

プーチン氏はさらに、国際的な諸問題に対する両国のアプローチは「極めて近い、もしくは一致している」とした上で「両国はさまざまな困難に直面する国際情勢を安定させるために重要な役割を担っている」と強調した。

ウクライナ問題でロシアと欧米の関係が悪化する中で、同じように新疆ウイグル自治区での人権侵害や台湾問題などで欧米の批判を受ける中国と手を結ぼうとすることは、当然といえば当然の流れなのだろう。

ところで、プーチン氏の寄稿がクレムリンのウェブサイトに掲載されたその日に、ラジオ局「モスクワのこだま」がリスナーを対象とした世論調査を行った。「中国はロシアの友邦か、それとも競争相手か」との質問に対し、2%が「中国はロシアの友邦」と回答し、98%が「競争相手」と回答した。

リスナーたちは経済学者ではないが、シベリアや極東への中国の投資がどのようなものであるか知っている。例えば極東に中国資本のホテルが建設されたが、スタッフも中国人、宿泊客もほぼ中国人で、食品も備品も中国からの輸入品だ。ロシア人の雇用はまったくと言っていいほど増えていない。

北京を訪問した代表団メンバーはわずか6人だった。北京訪問自体が儀礼的なものであり、首脳会談も実のあるものにはならないと分かっていたから、小規模な代表団となったのだろう。

プーチン氏は寄稿で「2021年の両国の貿易額は1400億ドルを超えており、年2000億ドルの目標に向かって進む自信がある」と誇ってみせた。
 統計を見れば明らかだが、中国と米国の貿易額が7560億ドル(中国の貿易額の12%)であるのに対し、ロシアのそれはわずか2・3%だ。

また、ロシアと欧州連合(EU)との貿易額は6800億ドルである。中露のつながりよりも、それぞれの米国やEUとの関係がはるかに大きいことを、プーチン氏はわざわざ示してしまった。

ウクライナ問題がさらにエスカレートした場合、米国はロシアの銀行に対し、米ドル取引を制限する可能性がある。その時に中国がロシアを助けてくれるのか。現時点での回答はNOだった。

人民元は依然として不安定であり、ロシアが外貨準備として人民元を積み上げることは、財政面、経済面の理由から現実的ではない。プーチン氏と習国家主席による北京宣言は、要約すれば、米国中心の世界秩序を打ち壊さなければならない、ということだ。

しかし、その道のりは極めて困難だろう。ロシアはエネルギーの輸出なしには自国経済を回すことができない。ドイツはロシアからバルト海を経由してドイツに至る新しい天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働を控え、これまでロシアとの関係悪化に慎重だったが、その姿勢を転換した。欧州にはロシア以外にもガスのサプライヤーがある。

プーチン氏は習主席に「年間100億立方メートルの天然ガスを極東から中国に供給する」と約束した。ロシアはすでに中国向けのパイプラインで天然ガスを供給しているが、もし欧州に天然ガスを売れなくなった場合に備え、中国という大口の販売先を確保したい、との思いがあるだろう。