【サンパウロ綾村悟】米国務省は15日、外国軍事融資(FMF)5200万ドル(約82億円)を、スロバキア、北マケドニア、チュニジア、イラクから、パナマ、ペルー、エクアドル、コロンビアの中南米4カ国へ再配分すると議会に通知した。

国務省の通知によると、目的は麻薬組織対策、パナマ運河の安全確保、そして米国の「敵性国家」が西半球に戦略的足場を築くのを阻止することだ。欧州・中東向け資金を西半球へ移したことは、トランプ政権が中南米を軍事・安全保障上の優先地域に位置付け始めたことを示す。
背景には、中国の中南米進出がある。名指しはしていないものの、「域外の敵対国による戦略的足場の阻止」との表現から、念頭にあるのは中国とみられる。
ペルーでは、中国国有海運大手コスコが運用するチャンカイ港が2024年に開港した。米軍関係者や米上院外交委員会は、同港が有事の際に中国海軍の補給拠点に転用され得ると警戒している。
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国務省の通知が「パナマ運河の安全確保」を明記したことも、米国が西半球の重要インフラを安全保障上の要衝と捉え、域外勢力の進出を阻止する姿勢を示すものだ。
支援対象の4カ国は、それぞれ異なる安全保障上の意味を持つ。コロンビアとエクアドルは麻薬密輸・組織犯罪対策の要衝であり、パナマは運河と移民ルートの結節点、ペルーは太平洋物流の新たな拠点だ。麻薬犯罪対策と中国の影響力拡大阻止を同じ政策に組み込むことで、ワシントンは西半球の協力網を再構築しようとしている。
また、9月にルビオ国務長官がコロンビア、エクアドル、ペルーを歴訪したことも、この動きと無関係ではない。訪問では麻薬対策、安全保障協力、通商関係の強化が協議され、米国と中南米諸国の連携強化が打ち出された。
米国は欧州や中東への軍事融資から撤退するわけではなく、今回の措置はあくまで再配分だ。ただし、トランプ政権が新モンロー主義で米国と周辺国を優先し、中南米への関与を深めていることは明らかだ。日本など他地域の同盟国にとっても、米国の抑止力を前提にしつつ、自国周辺の防衛をより多く担う必要性を示唆する動きとなっている。







