トップ国際中南米ペルー、「米州の盾」参加表明 米政権、中南米で対中牽制

ペルー、「米州の盾」参加表明 米政権、中南米で対中牽制

中国資本主導で整備されたチャンカイ港=2024年10月、ペルー・チャンカイ(AFP時事)

 【サンパウロ綾村悟】南米ペルーのケイコ・フジモリ大統領は10日、米国が主導する地域安保・麻薬対策の枠組み「米州の盾」への参加を正式表明した。ペルーを訪問していたルビオ米国務長官との共同記者会見の場で発表された。保守派のフジモリ政権が安全保障を軸に米国側に舵(かじ)を切った象徴的な会見となった。

 ルビオ氏はペルー訪問直前の8日、同国のエルコメルシオ紙に寄稿し、中国資本のインフラ案件に対して「中国共産党が支援するプロジェクトはペルーの法的枠組みを回避し、透明性とデータ安全保障にリスクをもたらす」と批判した。具体的なインフラ名には言及しなかったが、念頭にあるのは中国資本が主体となって建設したチャンカイの巨大港湾施設とみられる。同港を巡っては、米軍関係者からも有事の際の軍事転用を懸念する声が出ている。

 一方でルビオ氏は、フジモリ政権下のペルーを「北大西洋条約機構(NATO)非加盟ではあるが、重要な同盟国だ」と強調し、米国は明確な代替案を透明性を持って提案すると主張した。フジモリ氏との共同会見では「両国関係の黄金時代が来る」とも述べ、期待を寄せた。

 ルビオ氏は今回の歴訪でペルーのほかコロンビア、エクアドルも訪問した。いずれの国も昨年から今年にかけて左派政権から右派政権に交代したばかりで、外交・治安・資源開発を軸に米国との関係強化を図っている。ルビオ氏の歴訪は、こうした保守政権の連鎖的な米国接近を後押しする狙いがあったとみられる。

 寄稿から一夜明けた9日、在ペルー中国大使館は「西半球は誰の裏庭でもない」「中国は他国の内政に干渉もせず、中国側に付くように求めたこともない」と即座に反発。中国外交部も「ラテンアメリカは誰の裏庭でもない」と同調し、組織的な反論の構えを見せた。

 ペルーは中国にとって中南米で有数の投資先である一方、ペルーにとっても中国は最大の貿易相手国だ。今年上半期の中国との貿易額は前年比35%増と、対米貿易の伸びを上回るペースで拡大している。こうした経済的な結び付きの強さを踏まえれば、フジモリ政権が安全保障で明確に米国側に舵を切ったことは、中南米での影響力強化を図るトランプ政権にとって大きな成果と言える。

 今回のペルーの参加により、米州の盾は15カ国を超える体制となった。コロンビアも同時期に加盟しており、保守政権が連鎖的に参加表明している。ペルーに限らず、保守化した南米諸国の多くは経済面で中国に大きく依存する。経済は中国、安保は米国という使い分けが今後どこまで持続するか。ペルーとコロンビアの選択は、地域秩序の行方を占う試金石となりそうだ。

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