トップ国際中南米アルゼンチン大統領、フォークランド領有権を主張 英の油田開発を危惧

アルゼンチン大統領、フォークランド領有権を主張 英の油田開発を危惧

 【サンパウロ綾村悟】南米アルゼンチンのミレイ大統領は3日、全国向けに配信された演説を通して英国が実効支配するフォークランド諸島(アルゼンチン名・マルビナス諸島)の領有権がアルゼンチンにあると言及した。

3日、国民向け演説を行うアルゼンチンのミレイ大統領(AFP時事)
3日、国民向け演説を行うアルゼンチンのミレイ大統領(テレビ画面から)(AFP時事)

 ミレイ氏は、演説の中で「マルビナス諸島は歴史的にも法的にもアルゼンチンのもの」「島の主権回復は国家の義務」などと強調した。

 また、英国とイスラエルの企業がフォークランド沖合で進めている「シーライオン」油田の開発に対して、両国の企業に対する制裁を強化すると発表した。制裁は取引先にも及ぶ広範囲で強硬なものだ。

 現地メディアによると、同油田は来年度の生産開始を目指している。アルゼンチン国内には、資源開発を通じて実効支配が強化されれば、主権の回復が困難になることを危惧する声が上がっているという。

 今回のミレイ氏の発言の背景には、トランプ米大統領が8月末に「フォークランドに対する米国の立場は見直し中だ」と再検討を示唆したことがある。

 トランプ氏としては、イラン戦争への支援などで温度差がある英国政府を牽制(けんせい)した形だが、ミレイ氏はその発言を好機と捉えて外交攻勢を仕掛けた形だ。

 経済低迷に苦しんできたアルゼンチンは国軍の近代化に着手したばかりで、領有権に関する強硬な発言や制裁の効果は限定的だ。

 一方、来年の大統領選挙で再選を目指しているミレイ氏は、過去最低の支持率(37%)に直面している。就任以来、省庁再編や補助金カットなどを通じて左派政権時代の記録的なインフレや財政赤字から脱却を図ってきた。

 こうした中、フォークランド諸島の主権問題は、古典的な手法ではあるが保守系メディアが「主権回復への具体的一歩を踏み出した」と評価するなど、国民の団結や支持を集めて政権への求心力を立て直す切り札となっている。

 フォークランド諸島 アルゼンチン沖約500キロの大西洋に位置する島嶼(とうしょ)群。英国が1833年から実効支配する一方、アルゼンチンは領有権を主張している。1982年に領有権をめぐりアルゼンチンと英国の間で「フォークランド紛争」が勃発した。

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