トップ国際中南米ブラジル大統領選まで1カ月 保革候補、決選投票は互角

ブラジル大統領選まで1カ月 保革候補、決選投票は互角

「財政」「治安」が主要争点に

 【サンパウロ綾村悟】投票まで1カ月に迫ったブラジル大統領選(第1回投票10月4日、決選投票10月25日)。現職のカリスマ、ルラ大統領(左派・労働者党)とフラビオ・ボルソナロ上院議員(右派・自由党)による一騎打ちの構図が固まりつつある。

ルラ大統領=8月21日(左側)、フラビオ・ボルソナロ上院議員=8月22日(右側)(AFP時事)
ルラ大統領=8月21日(左側)、フラビオ・ボルソナロ上院議員=8月22日(右側)(AFP時事)

 ダッタフォーリャが3日に公表した世論調査結果によれば、決選投票を想定した場合の得票率はルラ氏46%に対しフラビオ氏44%。誤差2ポイントを考慮すれば、支持率は事実上互角だ。8月中旬の前回調査ではルラ氏47%、フラビオ氏43%だった。他の世論調査でも同様の傾向が確認されており、現職優位のシナリオが崩れつつある。

 選挙の主要争点は「国家の役割・財政」と「治安・犯罪対策」だ。社会保障制度を重視するルラ氏は支出重視の継続を掲げる一方、フラビオ氏は小さな政府と支出削減を掲げ、両者の路線の違いは鮮明だ。

 治安面でも対比は明確だ。ルラ氏は犯罪組織への資金源締め付けや警察支援、再犯予防など長期的な改善を志向する一方、フラビオ氏は「受刑者が少な過ぎる」として、刑務所収容能力の大幅拡大や犯罪組織のテロ指定化を掲げるなど、短期決戦型の強硬路線を打ち出している。

 両者の支持率が拮抗(きっこう)した背景には、経済環境の悪化、治安への不満に加え、ルラ氏の身内のスキャンダルがある。

 有権者の49%が「この1年で経済が悪化した」と回答し、食料品価格など生活費の上昇を実感する声は67%に上る。この「生活実感」の悪化が、ルラ政権への不満を押し上げている。

 加えて、ルラ氏の長男を巡る不正取引疑惑が支持喪失につながった。治安面では「ルラは犯罪者に甘い」というフラビオ氏側の批判も浸透しつつある。

 拮抗する情勢の中で存在感を増しているのが、中道派のアウグスト・クリ候補だ。世論調査で8%前後の支持を集め、決選投票の行方を左右する存在になるとの見方が強まっている。

 ベストセラー作家として知られるクリ氏は「右派の最善を頭に、左派の最善を心に」を掲げ、経済では小さな政府や財政規律、規制緩和を志向する一方、社会政策では人権・教育重視を打ち出す独自路線で、若年層や高学歴層を中心に支持を広げてきた。

 クリ支持層の多くがフラビオ氏を評価しているとの調査はあるが、クリ氏自身は決選投票での支持候補を明言しておらず、現時点での票読みを難しくしている。

 第1回投票で過半数を得る候補がいなければ、上位2人による決選投票が10月25日に行われる。治安と経済への不満を抱える有権者による保守化はアルゼンチンをはじめとする南米各国で進んでおり、ブラジルがその最後のピースを埋めることになるか。注目の選挙は1カ月後に迫る。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »