
【サンパウロ綾村悟】ブラジル最大野党で右派の自由党は25日、サンパウロで党大会を開き、10月4日投開票の大統領選候補として、ジャイル・ボルソナロ前大統領の長男でリオデジャネイロ州選出上院議員のフラビオ・ボルソナロ氏(45)を正式に擁立した。
会場にはアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が駆け付け、「ブラジルに垂れ込める『ルラ(大統領)というリスク』に終止符を打てる人物は、彼をおいて他にいないと強く信じている」と演説し、南米に広がる保守連帯を印象付けた。再選を目指す現職の左派ルラ氏(80)との対決の火ぶたが切られた。
フラビオ氏は「私は父より穏やかで、陽気で、落ち着いていて、温和かもしれない。だがボルソナロの血が流れている」と支持者に訴え掛けた。ボルソナロ前大統領は、クーデター未遂罪などで禁錮27年3月の判決を受けて収監されており、党大会で人工知能(AI)で生成された同氏の映像が上映された。
選挙の最大の争点は、インフレと高金利に苦しむブラジル経済の立て直しだ。ルラ政権は低所得者向け給付拡充など、財政支出を伴う社会政策を推進してきた。しかし財政悪化懸念から通貨レアル安が進み、インフレ抑制のための高金利の長期化が経済成長の重荷となっている。
フラビオ氏は財政規律の回復と規制緩和、民間投資の呼び込みを掲げるが、「手厚い社会保障」を求める低所得者層と「安定した投資環境」を望む中間・富裕層との間で世論は割れている。
対外政策も焦点だ。ルラ政権が中国との経済関係を深めているのに対し、フラビオ氏はトランプ米大統領との良好な関係や中南米の右派政権との連携を追い風に、対米関係の修復を目指すとみられる。もっとも、ミレイ氏が演説でルラ氏を「前科者」、最高裁判事を侮蔑的な言葉で呼んだとされる問題を受け、ブラジル政府は26日、駐アルゼンチン大使を一時本国に呼び戻すなど、外交摩擦も表面化している。
最新の世論調査では、決選投票を想定した支持率はルラ氏48%、フラビオ氏43%と、現職優位の構図が続く。保守票を結集し、中道層にも支持を広げられるかがフラビオ陣営の最大の課題だ。






