トップ国際中南米ブラジル最大の犯罪組織、警察・検察に浸透か 内通者から捜査情報入手

ブラジル最大の犯罪組織、警察・検察に浸透か 内通者から捜査情報入手

 【サンパウロ綾村悟】米国がテロ組織に指定するブラジル最大の犯罪組織「首都第一コマンド(PCC)」が、警察や検察の内部協力者を通じて捜査情報を入手し、悪用していた疑いが浮上した。サンパウロ州検察当局は6月9日までに、州警察の麻薬捜査責任者や元検察庁インターンら3人を逮捕した。巨大犯罪組織が国家の治安機関を内側から侵食する深刻な事態となっている。

ブラジル・リオデジャネイロの貧民街で、犯罪組織の一斉摘発に当たる武装警官=6月23日(EPA時事)
ブラジル・リオデジャネイロの貧民街で、犯罪組織の一斉摘発に当たる武装警官=6月23日(EPA時事)

 「潜入者作戦」と名付けられた事件の捜査に当たったのは、サンパウロ州検察庁の組織犯罪対策専門部隊だ。捜査機関からPCCへの情報漏洩と、検察内部データの悪用を解明する目的で実施された。

 逮捕されたのは、サンパウロ州文民警察・麻薬捜査専門部署(DISE)の責任者、元警察官、元州検察庁インターンの3人。警察に潜入したマフィアの暗躍を描いた香港映画「インファナル・アフェア」をほうふつさせる構図が、現実の捜査で裏付けられた。

 警察側の疑惑が浮上した発端は、組織犯罪を追及する検察官への暗殺計画だった。捜査の過程で、2025年に実施されたPCC摘発作戦の直前、暗殺計画に関与していた人物がDISE責任者と面会していたことが映像などから判明した。摘発日時などの機密情報が組織に渡っていれば、証拠隠滅や構成員の逃走だけでなく、作戦に参加する捜査官の特定や襲撃すら可能になる。

 一方、元検察庁インターンは、勤務中にアクセス可能だった刑事検察部門のデータベースを私的に悪用した疑いが持たれている。捜査対象者の中から資金力のある人物を割り出し、「捜査の手から守る」と持ち掛けて金銭を要求していたとされる。元警察官らが元検察庁インターンからの対象者への接触や情報収集を裏で手助けしていた可能性もあり、組織的な関与の解明が急がれている。

 1993年にサンパウロ州の刑務所内で結成されたPCCは、麻薬や武器の密輸、資金洗浄に手を染めながら、合法企業や金融網にまで影響力を拡大。今回の事件は、PCCが単なる麻薬集団の枠を超え、国家の統治能力そのものを脅かす安全保障上の脅威となっているという米国の見方の一端を裏付けている。

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