トップ国際中南米折れないプライドを育てるもの ブラジルから

折れないプライドを育てるもの ブラジルから

 以前、アマゾン川河口域の港町ベレンを一人で旅した。居心地の良さそうなゲストハウスを見つけ、数十年ぶりにドミトリー(相部屋)に泊まると、一人のドイツ人青年と親しくなった。

 彼はブラジルの人々の温かさと、「ありのままの自分でいてよい」と思わせる空気に引かれ、移住まで真剣に考えていた。ただ、その魅力をドイツの家族や友人に説明しても、なかなか理解してもらえないという。

 規律や世間体を重んじる社会で育った人は、ブラジルの「人生なんとかなるさ」という感覚に、肩の力が抜けるのだろう。多少の失敗や不完全さを受け流し、それだけで人間全体を決め付けない。そのおおらかさは、どこから生まれるのか。

 私が接してきたブラジルの親たちは、学校で子供が問題を起こしても、まず本人の言い分を聞き、学校側にも臆せず向き合う。無条件に擁護するのはどうかと思うこともある。それでも親は、失敗と子供の人格を切り離し、「あなたの価値まで否定されたわけではない」と全身で伝える。

 ブラジルの親にとって、わが子は成績や世間の評判にかかわらず、いつまでも「世界一」、子供の存在そのものを肯定する態度だ。失敗しても戻れる場所となる。その安心感が、簡単には折れない自尊心の土台になるのかもしれない。

 ドイツ人の彼が言葉にできなかった居心地の良さ。それは、失敗しても自分の価値までは失われないという安心感と、完璧ではない他人を受け入れる寛容さがつくる空気だったのかもしれない。(S)

泣く子も黙る告発サイト ブラジルから

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