【サンパウロ綾村悟】「ブラジルの才能は、日本の組織力を上回れるのか」――。サッカー・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦で29日(日本時間30日)、日本と対戦するブラジルで、こんな問いが投げ掛けられている。

2002年大会でブラジルを世界一に導いたルイス・フェリペ・スコラリ元監督は、日本がオランダと2―2で引き分けた試合を「今大会ここまでのベストゲーム」と絶賛した。両チームを「戦術的にも技術的にも完成され、配置と組織が整っている」と評価し、「守備は見ていて美しく、攻撃ではボールを自在に扱っている」と称賛。日本との対戦に「恐れと懸念」を抱いていると語っている。
だが、スウェーデン戦までの日本代表の1次リーグ3試合を見た現地評論家の多くは、それでもブラジル優位とみる。著名スポーツジャーナリストのジュカ・クフォウリ氏は、日本の最大の脅威を「スピード」と指摘。スウェーデンよりも動きが速く、予測しにくい相手と警戒しながらも、ブラジルが格上との見方を崩していない。
大手オンラインメディア、UOLのスポーツコラムニスト、ジュリオ・ゴメス氏は、日本の組織的な攻撃を高く評価する一方、個人の即興性や空中戦、セットプレーではブラジルに分があると分析する。評論家ガブリエル・サー氏も、日本戦を「本当に難しい試合」と警戒しながら、ブラジルが高さと個人能力を生かせば攻略できるとの見方を示した。
日本にとっては、ビニシウス選手(レアル・マドリード)らの突破力と決定力をいかに抑え込めるかが勝負の鍵となる。さらに、勝負どころで投入される可能性のあるネイマール選手(サントスFC)の存在も侮れない。一つのプレーで試合の流れを変え得る個人技は健在で、日本にとって強烈かつ不気味な切り札となる。
ブラジルのファンからは「日本に勝てなければ恥」とする強気な声が上がる一方、「速く、組織され、最も対戦したくなかった相手」との警戒論も聞かれる。史上最強とも評される日本代表が、16強進出を懸け、W杯本番で本気のブラジルにどこまで肉薄できるか。世界が注目する一戦となる。






