
【サンパウロ綾村悟】米生成人工知能(AI)大手のオープンAIは25日、ブラジル新聞最大手「フォーリャ・ジ・サンパウロ」とニュースサイト大手「UOL」との間で、同国初となる商業提携を結んだと発表した。両社は、メディア財閥「フォーリャ・グループ」の傘下にある。
ブラジルは世界有数の「AI大国」。若年層を中心にデジタル技術への適応が進んでおり、オープンAIが開発する対話型AI(人工知能)「チャットGPT」の利用者数は5000万人と米国、インドに次ぐ世界第3位に位置する。ブラジル市場は、主要テック企業が覇権を争う激戦区だけに、オープンAIは現地に根ざしたポルトガル語のニュースコンテンツの確保を急いでいた。
フォーリャ社は2025年に自社の報道コンテンツがAIの学習や回答に無断利用されているとして、著作権侵害などでオープンAI社を提訴し巨額の賠償金や学習モデルの破棄などを求めていた。
今回、泥沼の訴訟合戦から提携に動いた背景には、両者の協力を通じてより大きな相乗効果が見込まれることがある。オープンAIは、フォーリャ・グループから信頼性の高いリアルタイムの現地報道や解説などを得てチャットGPTの回答に反映させることが可能になる。一方、フォーリャ社側は、ライセンス料金に留まらず、最先端のAI技術を「新聞業務のインフラ」へと組み込む「ブラジルモデル」の構築が可能になる。
同社は、オープンAI社が持つ最上位のAI機能や開発用モデルの提供を受け、膨大な取材資料の要約や文字起こし、校正などの編集業務を劇的に効率化することが可能になる。また、独自の過去記事アーカイブと連携させた読者向け「チャットAI」などの新機能開発も目指すという。
今回の提携は、欧米で先行して進んできた「テック大手と巨大メディアによる大再編の波」が、ブラジルにも本格的に押し寄せた形だ。今後は、他のAI開発企業と情報を握るメディアとの提携が急速に進むことが予想される。





