【サンパウロ綾村悟】ブラジルのマリーニョ労働相が、中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)を「奴隷的労働を強いた企業」のブラックリストに掲載した労働監督局長を解任していたことが13日、関係者の証言で明らかになった。
BYDは今月6日、北東部バイア州カマサリの工場建設現場で中国人労働者163人を「奴隷的労働」に相当する劣悪環境に置いていたとして、同リストに掲載されていた。リスト掲載により、BYDは政府系金融機関などから融資を受けられなくなる恐れがあった。
ブラジルメディアによると、マリーニョ労働相は局長に対し、BYDをリストに載せないよう命じたが、局長はこれを拒否して掲載を実行していた。局長解任を受け、全国労働監督官連盟(ANAFITRA)は「政治的干渉だ」として強く非難している。
一方、ブラジルの労働裁判所は8日、BYDが「労働者の直接雇用主ではなく下請けが雇用した」と主張したことを受け、リスト掲載の法的根拠が不十分だとして、BYDをリストから除外する仮処分命令を下した。
ルラ政権は中国との経済関係を重視しており、BYDはバイア州に大規模なEV工場を建設中だ。中国はブラジルにとって輸出先第1位で、中国からの対ブラジル直接投資は2024年には前年比2倍超の約42億㌦に急増している。
同政権は中国からのインフラ・製造投資を積極的に誘致しており、保守系メディアや野党関係者からは「労働監督の独立性が問われる」「解任は政治的配慮を優先した政治介入だ」などとの批判が出ている。





