【サンパウロ綾村悟】南米ペルーで12日、大統領選挙と総選挙が行われる。大統領選挙は30人以上が乱立する混戦となっており、いずれの候補も過半数に届かない公算が大きく、6月に上位2人による決選投票が行われる見通し。

世論調査では、フジモリ元大統領の長女で親米・中道右派のケイコ・フジモリ氏(50)が支持率15%前後で首位に立つ。
2位争いでは、既成政治への不信をてこに支持を伸ばす中道ポピュリストの元コメディアン、カルロス・アルバレス氏(62)と、極右色の強いラファエル・ロペスアリアガ前リマ市長(65)が競り合う。
選挙戦の背景には、大統領が相次いで罷免・辞任に追い込まれた政治の機能不全と、犯罪多発・汚職蔓延(まんえん)への市民の怒りがある。政治不信から棄権する有権者も多い。
ケイコ氏は死刑復活を主張し、ロペスアリアガ氏はエルサルバドル型の強権的治安対策を掲げている。保守候補が有利とされるが、格差解消と汚職撲滅を訴えて支持を急速に伸ばしたアルバレス氏が浮動票を集める可能性もある。
対外関係の焦点は中国だ。
ペルーでは、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の象徴として同国太平洋岸のチャンカイに巨大コンテナ港を建設し、中南米への影響力を着々と強めている。
ペルーは2019年に一帯一路協力覚書に署名し、現在、中国は最大の貿易相手国。中国資本主導のチャンカイ港は南米とアジアを直結する戦略拠点だが、米国は軍民両用への転用を警戒する。
ケイコ氏ら保守派は自由貿易・法の支配を重視し、中国との経済関係を維持しながらも安保面での過度な依存には距離を置く姿勢だ。一方、左派政権下で中国との関係を深めるコロンビアとブラジルでも5月と10月に大統領選が予定されている。資源大国ペルーに保守政権が誕生すれば、両国保守派にも弾みがつき、「中国の裏庭化」に歯止めをかける契機となり得る。





