【サンパウロ綾村悟】南米アルゼンチン政府は17日、世界保健機関(WHO)からの脱退が正式に有効になったと発表した。今年1月の米国に続く動き。同国のミレイ大統領は、新型コロナウイルスが流行した際のWHO介入が「国家主権の侵害」に当たると主張してきた。
WHOが当時、推奨したロックダウンは、同国の経済に甚大な打撃を与えたと、ミレイ氏は厳しく批判。現在議論・推進されている「パンデミック条約」も、加盟国の保健政策への強制力を伴うと、反発する姿勢を鮮明にしている。またトランプ米大統領と共に、WHOは「非効率、かつ特定の勢力による政治的影響を受けている」とも断じている。
アルゼンチンは南北米大陸の地域保健機関である、汎米保健機構(PAHO)には残留する。だがWHOの南北米地域事務局を兼ねるPAHOは、その組織運営が岐路に立たされている。最大の懸念は資金の枯渇だ。主要な資金拠出国の一つである米国が、WHO関連方針の一環としてPAHOへの資金拠出を停止・削減したため、PAHOによる南米での感染症モニタリングやワクチン配布などへの影響は避けられない見通しだ。
アルゼンチン国内の医療専門家からは、WHO脱退により、国際的な情報ネットワークからも外れ、将来のパンデミック発生時の迅速な対応を妨げるとの懸念も出ている。脱退についてミレイ政権は、「無駄な官僚組織への拠出を削減し、国内医療の効率化に充てる」と説明する。米国とアルゼンチンによるWHO離脱は、他の諸国への波及の可能性もある。






