【サンパウロ綾村悟】南米チリの港湾都市バルパライソで11日、右派・共和党ホセアントニオ・カスト大統領(60)の就任式が行われた。昨年末の大統領選挙で政権を奪還し、南米の保守化の波を確固たるものとした。任期は4年、連続再選は禁止されている。
カスト氏は就任演説で、前政権が推進したリベラル、環境重視、多文化主義的な路線からの「180度の転換」を宣言した。
具体的な政策として、大幅な減税や規制緩和、政府支出の徹底的な削減を掲げ、市場原理主義に基づいた経済再生を掲げる。犯罪組織に対しては軍の投入も辞さない姿勢を表明。伝統的な家族観を重んじ、中絶や同性婚には否定的な立場を取る保守路線への回帰が鮮明だ。
カスト氏の理念や政策は、米国のトランプ大統領や隣国アルゼンチンのミレイ大統領と極めて近い。特にミレイ氏と価値観を共有しており、南米南部(コーン・サウス)において、保守・リバタリアン的な経済圏の構築を目指している。
ミレイ氏との共闘は、南米を席巻してきた左派の潮流「ピンク・タイド」を大きく変え、域内の政治地図を塗り替える可能性を秘めている。
式典には、スペイン国王フェリペ6世や米国のランドー国務副長官ら各国要人が参列した。日本からは特使として松島みどり衆院議員が出席した。
特筆すべきは、ベネズエラの野党指導者マチャド氏の出席だ。カスト氏は同氏を「民主主義の象徴」として国賓級に遇し、ベネズエラの民主化を支援する姿勢を内外に示した。
カスト政権は、チリがかつて「南米の優等生」とも呼ばれた経済強国の再生を目指し、米国との同盟を軸とした保守陣営の一角を担おうとしている。






