トップ国際中南米選挙期間のAI規制へ―ブラジル 表現の自由に一定の配慮

選挙期間のAI規制へ―ブラジル 表現の自由に一定の配慮

【サンパウロ綾村悟】ブラジルの高等選挙裁判所(TSE)は2日、選挙期間中、人工知能(AI)により新しく生成・改変されたコンテンツのSNS投稿などを、制限する規則を承認した。10月の総選挙で導入され、投票日の72時間前から24時間後まで適用される。候補者とその他公人、所属政党が対象。

 巧妙な「ディープフェイク」による世論操作が世界的に懸念される中、民主主義の根幹である選挙の公平性担保に、一つの指針を示した形だ。背景にあるのは、生成AI技術の飛躍的発達。候補者の発言を捏造(ねつぞう)したり、スキャンダルを偽造すると、これを見た有権者の判断を根本から狂わせる。ブラジルでは過去の選挙において、SNSを通じたフェイクニュースが社会問題化しており、AIの悪用が拍車を掛ける懸念があった。

 一方で、国家による言論統制への懸念も根強い。AI加工コンテンツの投稿を、投票前後の計96時間に限定して禁ずることで、表現の自由侵害を最小限にとどめた。また、規制対象を候補者と公人、政党に絞ることで、一般市民による政治議論や、大学のような研究機関の専門家の意見を可能な限り保護する姿勢を見せている。それでも捏造や偽造が疑われる場合は、SNS運営企業に削除を義務付けた。

 2026年の選挙で導入される、時間制限付きのAI厳格規制は、国政レベルで初めての試み。ハイテクを駆使した「新しい時代の選挙」に対し、法整備にどこまで実効性を持たせられるか。表現の自由や有権者の知る権利との兼ね合いで、新規則の行方が注目される。

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