【サンパウロ綾村悟】キューバ北部の領海内で25日、米フロリダ州船籍の高速船とキューバ国境警備隊による銃撃戦が発生した。キューバ内務省の発表によると、この衝突で高速船に乗っていた4人が死亡、6人が負傷し拘束された。国境警備隊の指揮官1人も負傷した。
キューバ当局の発表では、停船命令を無視した高速船側が先に発砲し、警備隊が応戦したという。船内からはアサルトライフルや暗視スコープ、手製爆弾などが押収されたとしており、拘束された6人は全員が米国在住のキューバ人だとしている。
拘束者のうち数名が過去にキューバ国内でのテロ行為に関与した指名手配犯であるとし、「国家の主権と安定を脅かす試み」と激しく非難した。
共産党一党独裁体制を堅持するキューバ政府は、本事件をテロ行為と批判し、トランプ政権への対決姿勢を強めている。
これに対し、ルビオ米国務長官は「米政府の関与は一切ない」と明言しつつ、独自に情報収集を行う方針を示した。フロリダの亡命コミュニティーからは、キューバ当局が非武装の民間船を攻撃したのではないかとの疑念も上がっている。
背景には、キューバ当局による過剰な武力行使への強い警戒感がある。2022年10月には、キューバ西部アルテミサ州沖で亡命船が警備隊に衝突・沈没させられ、子供を含む死者を出した。1996年2月には、亡命キューバ人らを乗せた非武装の小型機2機がキューバ軍に撃墜された事件も発生している。
現在のキューバは、米国の経済制裁強化とベネズエラからの石油供給停止により、建国以来最悪のエネルギー危機に直面している。国内では停電や物資不足への不満が高まっており、今回の事件を「米国からの脅威」「テロ事件」として強調することで、政権への批判をそらす狙いも透けて見える。
米・キューバ双方の見解が対立する中、今回の事件が外交関係をさらに冷え込ませることは避けられない情勢だ。






