
【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラのデルシー・ロドリゲス暫定大統領は2日、首都カラカスの大統領府で、ローラ・ドゥグ米特使(臨時代理大使)と会談した。米軍によるニコラス・マドゥロ前大統領拘束という衝撃的な政変から1カ月。断絶していた対米関係の修復と、破綻した経済再建に向けた本格交渉が始まった。
ロドリゲス氏は会談を前に、1999年のチャベス政権発足以降、「あらゆる政治的暴力(政治的対立に関与した活動)」に関わったとされる受刑者の特赦を断行した。2日当日には、著名な人権活動家ハビエル・タラソナ氏を含む政治犯を釈放した。釈放された政治犯は計数百人に達し、人権状況改善を制裁解除の条件とする、米国側の要求に応じた形だ。
ドゥグ特使は会談で、マルコ・ルビオ米国務長官が提唱した「安定化」「経済回復と和解」「民主的移行」から成る3段階のロードマップを提示した。米国側は外交正常化と引き換えに、透明性の高い大統領選挙の実施を強く求めている。これに対しロドリゲス氏は、国益を守るための「実務的な対話」を強調した。
一方、ベネズエラ側も米首都ワシントンへの特使派遣を決定し、7年ぶりに両国首都に外交拠点が復活する見通しとなった。2019年にマドゥロ前大統領が在カラカス米外交官を追放、米国との断絶を宣言していた。
ベネズエラでは、ロドリゲス氏が親米路線へ舵(かじ)を切ったことで、石油制裁の緩和による経済復興への期待が高まっている。しかし、マドゥロ氏拘束に反発する残存勢力や、経済利権を握る軍部の動向、さらには野党勢力を含めた真の民主化をどのように実現するか、正常化への道のりは依然として険しい。米国主導で進む「ベネズエラの新生」が、南米全体の安定に寄与するのか、今後の推移が注目される。






