【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラのロドリゲス暫定大統領は29日、国営石油会社(PDVSA)の民営化関連法に署名した。石油部門への民間資本参入を全面的に解禁し、外資による単独操業を可能とする内容で、故チャベス元大統領時代から長年続いた「21世紀の社会主義」路線を大きく修正する歴史的な政策転換だ。
新法では、PDVSAが過半数を保有する合弁方式を原則とした従来制度を見直し、民間企業による100%の出資を認める。参入企業や投資家が原油を直接販売する権利も認められ、事業の自由度が大幅に高まる。また、契約紛争については国際仲裁の利用を明記し、かつての「国有化」リスクにさらされた制度面の是正を図った。
これを受け、トランプ米政権は同日、ベネズエラ産石油を巡る制裁措置の一部を解除する手続きに入った。米財務省は、米国および同盟国のエネルギー企業がベネズエラで事業を行うための特別認可制度を拡充する予定。
ただし、関係者によれば、この枠組みには中国、ロシア、イランなどの事業体が関与することを認めない方針だという。
今回の動きは、トランプ米政権が掲げるエネルギー安全保障政策の一環とみられる。米国は、原油供給網における中国やロシアの影響力拡大を警戒しており、西側主導の投資環境を再構築する狙いがあるとみられている。
一方、ロドリゲス政権は、米軍によるマドゥロ大統領拘束後、原油生産の回復と外貨獲得を最優先課題に掲げており、法改正を通じて海外投資の呼び戻しを図る考えだ。
ただし、民営化法の成立と米国による制裁見直しが、実際の投資回復や生産増につながるかは不透明で、トランプ政権が求めるベネズエラの民営化と共に今後の運用と国際情勢の行方が注目される。






