【サンパウロ綾村悟】アルゼンチン政府統計局(INDEC)は13日、2025年の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比で31・5%だったと発表した。2017年以来、8年ぶりの低水準となる。カプート経済相は同日、SNSで「アルゼンチンを再び偉大にするプロセスが着実に進んでいる」と強調した。
ミレイ大統領が就任した23年末、左派フェルナンデス政権から引き継いだインフレ率は年211%を超え、通貨ペソは崩壊の危機に瀕(ひん)していた。ミレイ氏は、前政権の放漫財政が招いた経済崩壊を「ショック療法」で立て直し、わずか2年でインフレ率を30%程度にまで下げる劇的な改善に成功した。
ミレイ氏が主導した政策は主に三つ。政府支出を聖域なく削減し14年ぶりの財政黒字を実現したほか、5万6千人超の公務員解雇と過剰な補助金のカットを断行。また輸出入制限の撤廃など規制緩和を推し進めた。さらにトランプ米政権との連携を強化し、大規模な通貨スワップ枠によるドル流動性を確保したことも、通貨の安定と市場の信頼回復に寄与した。
急進的な改革は痛みを伴い、ショック療法の過程で貧困率は一時50%を超えたが、物価の鎮静化に伴い現在は30%(就任時41%)へと改善。国民の支持も根強く、支持率は48%前後を維持している。痛みを伴う改革は左派勢力による反政府デモも招いたが、最終的には国民が「バラマキ」のポピュリズムとの決別を受け入れた形だ。
一方、13日発表の12月単月インフレ率は2・8%と、11月の2・5%からわずかに加速。一部の経済学者からは物価の下げ止まりを懸念する声も上がる。今年は約190億㌦の対外債務返済が控えており、今後は物価抑制に加え、実体経済の成長と本格的な投資の呼び込みがカギとなる。






