【サンパウロ綾村悟】中米ニカラグアの反米左派オルテガ政権は10日、「政治犯」として拘束していた野党関係者や宗教関係者ら数十人を解放した。正確な人数は未公表だが、一部メディアは少なくとも19人と報じている。
今回解放されたのは、元サンタ・マリア・デ・パンタスマ市長のオスカル・ガデア氏や、キリトス教福音派牧師のルディ・パラシオス氏ら。パラシオス氏は、オルテガ政権による人権侵害を批判し、昨年7月に拘束されていた。人権団体によるとニカラグアでは、計60人以上の政治犯が拘束されている。ただ今回の解放は、ニカラグア政権による体制維持への「ポーズ」にすぎないとみる警戒感は強い。ニカラグア政府は「政治犯」を認めていない。
オルテガ政権はこれまで、米国による厳しい経済制裁を「内政干渉」と一蹴、中国やロシアの支援を受けながら強権的政治体制を敷いてきた。しかし、米軍介入によるベネズエラのマドゥロ大統領の捕獲・米国移送を受け一変、体制維持に向け譲歩に転じたものとみられる。トランプ米大統領は先立つ9日、在ニカラグア大使館を経由し政治犯の即時解放を要求、直接「(解放がなければ)ベネズエラでの出来事を思い知ることになる」と強調して、軍事行動の可能性を排除しない姿勢を鮮明にした。
トランプ氏はベネズエラとニカラグア、キューバの3カ国を再び「暴政のトロイカ」と呼び、これらの独裁国家を「解体する」と強調した。トランプ政権の「力による解決」は、長年強固な結束を誇ってきた中南米の反米左派政権に深刻な影響を与えている。米軍の介入でベネズエラという最大の支援者を失ったニカラグアとキューバにとって、中南米における外交・経済的な孤立はもはや免れない情勢だ。






