
【サンパウロ綾村悟】ブラジル南部のフォス・ド・イグアスで20日、南米南部共同市場(メルコスル)の第67回首脳会議が開催され、アルゼンチンやパラグアイなど一部南米諸国が、ベネズエラに対して民主主義の回復と人権尊重を求める共同声明を発表した。アルゼンチン主導の声明には、パナマ、ボリビア、エクアドル、ペルーを含め6カ国が署名した。一方、議長国ブラジルは署名を見送り、域内での立場の違いを明確にした。
声明は、ベネズエラのマドゥロ政権下で続く政治弾圧、人道・社会危機に懸念を示し、反政府派の拘束停止や法の支配回復、自由で公正な政治参加体制の実現を求めている。マドゥロ政権は国際的に批判を浴びており、特に大統領選の公正性に各国や人権団体から疑問の声が上がっている。こうした民主主義からの逸脱を理由に、同国はメルコスルから資格停止処分を受けている。
ブラジル政府関係者は、ベネズエラへの声明が米軍による軍事的圧力を支持すると受け取られる恐れや、対話と外交的解決という従来方針との整合性を挙げ、署名見送りの理由としている。同国ルラ大統領は、米軍介入は「人道的大惨事を招きかねない」と強く警戒している。
一方でルラ政権は国内で、ボルソナロ前大統領支持派による、民主体制への不信を訴える言動に厳しい姿勢を取ってきた。ベネズエラ政府による反体制派への人権侵害や選挙不正疑惑について批判を控える対比から、「二面性」も指摘される。
声明を主導したアルゼンチンのミレイ大統領は、対米関係を重視し、ベネズエラのマドゥロ政権に批判的。民主主義と人権を掲げ、米国と歩調を合わせる外交戦略の一環と受け止められている。






