【サンパウロ綾村悟】ブラジルのルラ大統領は16日、欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスル)による自由貿易協定(FTA)について、今週末までに正式署名に至らなければ、交渉から撤退する可能性も排除しないとの考えを示した。1999年に始まった26年越しの交渉に対し、事実上の期限を示した形だ。
同協定は2019年に一度、政治合意に達したものの、批准に向けた手続きが停滞している。最大の障害は、フランスを中心とするEU側の農業保護姿勢だ。安価な南米産の牛肉や農産物の流入が自国農家に打撃を与えるとの懸念が強い。またアマゾンの森林破壊対策を含む環境保護の強化を求める声も交渉を難航させている。
ブラジルなどメルコスル側は、EUが求める追加的な環境条件について、政治合意後の「実質的な再交渉」に当たるとして反発してきた。ルラ政権は森林保全や温室効果ガス削減への取り組みを進め、EU側の懸念払拭を図ってきたが、双方の立場の隔たりはなお大きい。
EU・メルコスル協定が発効すれば、人口約7億人を超える巨大経済圏が形成され、工業製品や農産物を中心に関税撤廃が進むとされる。






