【サンパウロ綾村悟】チリ大統領選で保守系カスト元下院議員が勝利した。背景には、左派のボリッチ政権下で高まった国民の不満がある。インフレの長期化や経済の停滞に加え、組織犯罪の増加や不法移民の流入が社会不安を拡大させ、有権者の意識を大きく揺さぶった。
南米の主要国では、昨年就任したアルゼンチンのミレイ大統領に続く保守系大統領の誕生となり、近年続いてきた左派潮流からの転換を象徴する結果となった。米国のトランプ政権が中南米への関与を強める中、来年にはペルーやブラジルでも大統領選挙が予定されており、今回の結果は南米全体の政治・経済環境にも大きな影響を及ぼしそうだ。
カスト氏は選挙戦で、「犯罪組織の徹底摘発」や「不法移民対策の強化」を前面に掲げ、治安回復を最優先課題と位置付けた。併せて、伝統的な家族観の尊重や市場原理を重視した経済運営を訴え、保守層や中間層の支持を固めた。
外交面では、親米的な姿勢を鮮明にしており、米国やアルゼンチンなど域内の保守系政権との連携を重視するとみられる。価値観を共有する国々との協調が一つの軸となりそうだ。
また、チリは世界有数の銅生産国であり、リチウム埋蔵量でも世界最大級。前政権が進めた国家関与を重視する資源政策について、カスト氏は民間投資や外国企業の参入を促す方向での見直しを示唆しており、今後の政策転換が国内外から注目されている。






