トップ国際中南米チリ 大統領決選投票、右派優勢 南米政治に保守化の流れ

チリ 大統領決選投票、右派優勢 南米政治に保守化の流れ

 【サンパウロ綾村悟】南米チリで14日、現職左派ボリッチ大統領の任期満了に伴う大統領選の決選投票が行われる。世論調査では、右派カスト氏が優勢となっており、当選すれば一昨年から続いてきた南米政治の保守化の流れが確固たるものになりそうだ。就任は来年3月で任期は4年。再選制度はない。

 決選投票に進んでいるのは、チリ共和党から出馬している右派ホセアントニオ・カスト元下院議員(59)と、チリ共産党所属の左派ジェネッテ・ハラ前労働・社会保障相(51)。

 9日に行われたテレビ討論会では、甲乙付け難いと評されたが、治安、移民、経済政策を中心に両者の違いが鮮明になった。

 ハラ氏は、40時間労働制や社会保障強化など、労働相として推進した改革を前面に打ち出し、「格差是正に取り組む」と強調。移民政策では「不法移民対策は必要だが、人権と統合を重視すべき」だと述べ、寛容な姿勢を示した。

 一方、カスト氏は治安と国境管理の強化を掲げ、「国民の安全確保を最優先にする」と発言。不法移民や犯罪組織の取り締まりを強める方針を示し、「秩序なくして成長なし」と訴えた。経済では民間活力と外資誘致を重視し、左派政権下で停滞した投資環境の改善を主張した。

 一部メディアから極右とも評されるカスト氏。社会政策では伝統的価値観の尊重を強調するが、経済運営では市場重視の実務的姿勢が強く、欧州の伝統的保守政党に近いとの分析もある。また、移民政策についても「排斥」よりも「不法移民の管理」を強調する。

 直近の世論調査では、カスト氏の支持率が約59%、ハラ氏が41%。支持層は固定しており、カスト氏有利との見方が強い。

 今回の選挙は、チリ国内にとどまらず南米全体の政治潮流に影響を与える可能性が高い。アルゼンチン、パラグアイ、エクアドルなどで保守政権が誕生した流れの中、カスト氏が勝利すれば「南米の保守化がさらに進む」とみられている。

 特に、外交や経済面で米国との協調を重視するカスト氏がリチウム産業や安全保障で米国寄りの姿勢を取れば、ブラジル、コロンビアの左派政権との相違が鮮明になり、地域の政治地図を塗り替える可能性も出てくる。

 一方、チリの最大貿易相手である中国との経済関係は、どちらの政権でも維持されると予想されているが、カスト政権が誕生すれば、対中依存の過度な拡大には慎重姿勢を取るとの見方もある。

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