米国とメキシコの間で水資源問題を巡り緊張が高まっている。トランプ米大統領は、メキシコが1944年の「水利条約」で定められた対米送水義務を守っていないとして、追加関税や制裁措置を検討すると警告した。
水利条約は、国境を流れるリオグランデ(メキシコ側名称リオブラボ)、コロラド川、ティフアナ川などの水の配分を定めている。しかし近年、北部メキシコと米南西部で干ばつが長期化し、ダム貯水量が大きく落ち込んでいることから、メキシコ側からの送水は周期的に遅れがちになっている。
トランプ氏は4月、メキシコが義務量を満たさなければ農産品などへの追加関税などの制裁を科すと表明。11月には、米国務省が「累積した不足分を埋め合わせなければならない」と強調した。
一方、メキシコのシェインバウム大統領は、「メキシコは誠実に条約を履行してきた」と反論。ダム貯水量の減少や降雨パターンの変化、農業用水需要の増大といった事情に触れ、「すでに米側と技術的な作業部会を設け、どの地点で、どの程度の水量を直ちに送ることが可能か協議している」と説明している。
専門家の間では、今回の対立は単なる「条約違反」ではなく、制度設計そのものの限界が露呈した結果との見方が強い。1940年代の降水と需要を前提に作られた枠組みが、気候変動と農業の高度集約化という現実に追い付いていないという指摘だ。(ハンソニ・オヘダ)






