【サンパウロ綾村悟】ブラジル保健省は3日、蒸留酒にメタノールが混入した中毒事例を全国で113件確認したと発表した。これまでに少なくとも1人の死亡を確認、蒸留酒を含む飲料の安全を巡る社会不安が広がっている。
同国保健省によると、事例が初めて報告されたのは9月中旬。サンパウロ州などで無色の蒸留酒を飲んだ後、視覚・意識障害を訴える患者が相次いだ。10月に入ると、首都ブラジリアやパラナ州など複数の地域で同様の報告が相次ぎ、省は全国監視室を設置、メタノール中毒への治療に用いる、医療用エタノールの備蓄を増やし、医療機関に配布を始めた。
政府は衛生監視庁(ANVISA)とともに、これらの原因を偽造酒と疑い、販売ルートや製造業者の摘発に乗り出した。サンパウロ州当局も飲料事業者への監査を強化、複数の販売店が営業停止処分を受けた。
ブラジル国営通信などによれば、最初の死亡例は9月15日に確認された。地元メディアは、密造酒の市場拡大を警告、監督官庁に規制強化を求める声が高まっている。飲食業界ではカクテルの提供を控える動きも広がり、消費者の間では蒸留酒離れが進みつつある。





