【サンパウロ綾村悟】ブラジルの最高裁判所は11日、ボルソナロ前大統領(70)に対して、国家転覆未遂などの罪で禁錮27年3月の実刑判決を言い渡した。最高裁判事5人のうち4人が有罪を支持した。弁護側は無罪を主張しており、上訴(意義申し立て)する見通し。
判決は、大統領経験者を国家転覆の罪に問う、ブラジル初のケースとなった。ボルソナロ氏は、ブラジルの保守派の顔とも言える政治家だけに、判決は大きな波紋を生んでいる。
有罪判決を受け、与党労働党の支持者らは、「歴史的瞬間」「法の支配と民主主義を守る画期的な判決」などと歓迎している。
一方、ボルソナロ氏の支持者や保守派は、「政治的迫害」「不当で過度な量刑」などと批判、議会では保守派議員らによる恩赦を求める動きが続いている。
収監に関しては、今後最高裁で判断が下されるが、高齢や病気などを理由に自宅軟禁となる可能性も残されている。
ボルソナロ氏の弁護団は、上訴とともに、最高裁判事全員(11人)による全面評議を求める意向を示している。弁護側は、ただ一人無罪を主張したフックス判事による「推測に基づいた告発」を上訴の柱とするものとみられる。
ブラジル国内の法律専門家の多くは、判決が覆される可能性は低いとみており、実際には刑期の短縮や自宅軟禁の継続などが焦点となる見通し。
こうした中、ボルソナロ氏を「保守の盟友」と呼ぶ米国のトランプ大統領は「とても驚いた」と述べ、ルビオ国務長官は「米国はこの魔女狩りに対して適切に対応するだろう」と批判した。
ルビオ氏の発言に対してブラジル外務省は「ブラジルの司法の権威を脅かすもの」「事実と証拠を無視する発言」などと反発、外部からの圧力に屈しない姿勢を強調した。米国による新たな制裁措置などは、これまでのところ発表されていない。
トランプ政権は、ボルソナロ氏への裁判を不当なものとして、最高裁判事の米国ビザ発給停止や資産凍結、最高50%の関税などの制裁を科している。ブラジル側は米国を世界貿易機関(WTO)に提訴するなど外交問題に発展している。
今後、ボルソナロ氏の上訴や収監に向けた動きが注目されるが、厳しい措置が取られた場合には、さらなる国内分断や米国の関係悪化につながる恐れもある





