【サンパウロ綾村悟】ブラジルの労働裁判所は8月29日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のブラジル法人が1970年代から80年代にかけて、アマゾン地域の自社農場で労働者を「奴隷的環境」に置いていたと認定し、労働問題で同国史上最大規模となる1億6500万レアル(約30億円)の損害賠償を命じた。
問題となったのは、軍事政権下のVW社が74~86年の間、アマゾン熱帯雨林を開発して運営したパラー州の大規模農場「フォルクスワーゲン牧場」。
訴えによると、同農場では数百人の労働者が借金で縛られ、武装警備の下で過酷な環境下に置かれた。食料や医療は十分に与えられず、逃走は暴力で阻止されたとされる。裁判所はこうした実態を「現代の奴隷労働」と断定した。
また、労働裁は、VWのブラジル法人に対して、賠償金の支払いに加えて公式謝罪や奴隷労働ゼロに向けた取り組みの導入も義務付けた。さらに、監査強化や従業員研修、内部通報制度などの再発防止策も求めている。
ブラジルメディアは、「司法が大企業と軍事政権による人権侵害に踏み込んだ画期的判決」「奴隷労働問題は今もブラジル社会に根強く残る。今回の決定は他企業への警鐘」などと伝えた。
一方、VW側は、「人間の尊厳を尊重し、常に法を守ってきた」として控訴の意向を表明している。





